
鳴り物入りで採用した、新しい経理部長。豊富な経験と立派な職歴を持ち、これでバックオフィスは安泰だと、胸を撫で下ろしたはずでした。確かに、月次決算の締め日は数日早くなりました。書類は以前より整理され、ミスも減ったように見えます。しかし、経営者であるあなたの心の中には、日に日に拭いがたい**「静かな失望」**が広がっていないでしょうか。
経営会議の席で、経理部長が報告するのは、先月の売上、費用、そして利益といった「過去の数字」の羅列だけ。「素晴らしいレポートだ。それで、この数字から我々は来月、具体的にどうアクションすべきか?」という、あなたが最も聞きたい問いに対し、彼は口ごもるばかり。
営業部長が「新規顧客の獲得単価(CAC)が上昇している」と語れば、開発部長は「顧客の解約率(チャーンレート)を改善する新機能を開発中だ」と応じる。そんな事業の根幹をなすKPI(重要業績評価指標)の議論に、経理部長はまったくついていけず、ただ黙って頷いているだけ。
もし、この光景に少しでも心当たりがあるのなら、知っていただきたい事実があります。
それは、採用した候補者の能力が低いわけではないのかもしれません。問題の根源は、採用側であるあなた自身が求める「役割」と、候補者が提供できる「スキル」の間に、致命的とも言える深いズレがあることなのです。
なぜ、このようなミスマッチが起きてしまうのでしょうか。それは、多くの企業が「経理管理職」という一つの言葉で、本質的に異なる二つの人材像を混同してしまっているからです。私たちは、この二者を明確に区別する必要があります。
こちらは、いわば**「歴史家」や「スコアキーパー」**です。彼らのミッションは、過去に起きた経済活動を、会計基準というルールに則って、正確に、そして期日通りに記録し、報告することにあります。
彼らは経理業務の土台を支える上で不可欠な存在であり、その専門性は非常に高いものです。しかし、彼らの主戦場はあくまで「過去」にあります。
一方、こちらは**「航海士」や「参謀」**に例えられます。彼らのミッションは、過去の航海図(=決算書)を読み解くだけでなく、天候や潮流といった外部環境(=市場トレンド)を分析し、未来の目的地(=経営目標)に向けて、会社という船がどの針路を取るべきかをナビゲートすることです。
お分かりでしょうか。多くの経営者は、口では「経理部長」を募集しながら、心の中では「未来会計のパートナー」を渇望しています。しかし、採用面接の場になると、なぜか候補者の「過去会計」のスキル、つまり「何社の決算を締めてきたか」「上場企業での経験はあるか」といった点ばかりを確認してしまっているのです。これでは、優秀な「歴史家」を採用して、「未来を予測してくれ」と要求するようなものです。この構造的な矛盾こそが、採用失敗の根本原因なのです。
では、どうすれば真の「未来会計のパートナー」を見抜くことができるのでしょうか。
答えは、採用基準そのものを**「KPI思考」**へとアップデートすることです。面接での質問を、過去の実績(What)から、その背景にある思考プロセス(Why)と、未来への展開力(How)を問うものへと転換させる必要があります。
従来の質問:
「前職では、どのような月次決算業務を担当していましたか?」
→ これでは「過去会計」のスキルしか測れません。
未来会計のパートナーを見抜く質問
「前職で月次決算を早期化された経験についてお伺いします。単に早くするだけでなく、その早期化によって、経営陣のどのような意思決定が、どのように変化しましたか?」
「当社のビジネスモデル(SaaS、小売など)を踏まえ、あなたが当社の経理部長なら、経営陣が毎週チェックすべき最も重要なKPIを3つ挙げるとしたら何ですか?その理由も教えてください」
「あなたが過去に行った分析や提言によって、事業部門の戦略が変わり、最終的に会社の利益に繋がったという具体的な経験があれば教えてください。その際、どのようなデータやKPIを根拠としましたか?」
これらの質問に、候補者がどう答えるか。単に言葉に詰まるか、あるいは目を輝かせて自身の成功体験や考えを語り始めるか。そこに、「過去会計のプロ」と「未来会計のパートナー」を分ける決定的な違いが現れます。
そして重要なことは、このような「未来会計」を志向する人材は、例外なく自身のスキルアップに貪欲であるという点です。彼らは財務会計の知識に安住せず、管理会計、ファイナンス、マーケティング、さらには自社の事業そのものに対する理解を深めようと、常に学び続けているのです。
「なるほど、求めるべき人材像は分かった。しかし、そんな成長意欲の高い優秀な人材は、一体どこに行けば出会えるのか?」
その問いに対する明確な答えが、私たちRSTANDARDのサービスにあります。
Rの経理人材紹介**『【強み 2】 質の高い候補者を集める『登録者向け研修制度』**をご参照ください。
『登録者向け研修制度』』は、単なる福利厚生ではありません。これは、「未来会計のパートナー」へと進化したいと願う、ポテンシャルの高い人材を惹きつける強力な“磁石”**として機能しています。
考えてみてください。現状維持で満足している人材が、わざわざ時間を作って、通常は有料で提供されるような高度な経理専門研修に参加するでしょうか。答えは否です。
私たちの研修制度は、
と考える、強い成長意欲を持つ人材だけを自然とスクリーニングするフィルターの役割を果たしています。
そのため、RSTANDARDの登録者データベースは、単なる「経理経験者」の集まりではありません。常に学び、自らをアップデートし続ける「未来会計のパートナー」候補の宝庫なのです。私たちは、貴社が本当に必要としている、経営を語れる経理管理職との出会いを、高い確度で実現します。
Rの経理人材紹介:サービス詳細はこちら
もし、本コラムを読んで、自社の経理部門の変革と、そのための人材採用に本気で取り組みたいとお考えなら、ぜひ具体的な一歩を踏み出してみてください。
経理部長の採用は、単なる一部署の管理職の補充ではありません。それは、会社の未来を左右する、極めて重要な経営判断です。
過去の数字を正確にまとめるだけの経理から、数字を武器に未来の成長を創り出す経理へ。その変革の鍵を握るのは、間違いなく「人材」です。
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