派遣社員の副業(ダブルワーク)が社会保険に与える影響とは?

派遣社員が副業(ダブルワーク)を開始した際の社会保険料に関する注意点

派遣社員として副業を始める際、社会保険の加入条件が変わる可能性があることをご存知でしょうか?副業で収入が増えることは喜ばしいことですが、同時に社会保険料の負担が増えることもあります。
特に、以下の点には注意が必要です。

  • 本業と副業の労働時間や収入が合算され、社会保険の適用条件が変わる可能性がある
  • 副業先でも社会保険に加入が必要になるケースがある
  • 保険料の負担が増え、手取り収入が減る場合もある

これらの影響を十分に理解しないまま副業を始めると、「思ったより手取りが少ない」「保険料の負担が大きくなった」など想定していなかった・・・となる可能性があります。どのような場合に社会保険の適用が変わるのか、詳しく見ていきましょう。

社会保険の加入条件と副業の影響

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入は、基本的に1つの会社での労働時間や収入を基準に決まる仕組みです。しかし、副業を含めた収入が一定以上になると、社会保険の適用対象が変わる場合があります。

副業先でも社会保険の加入が必要なケース

以下のすべての条件を満たすと、副業先でも社会保険に加入する義務が生じます。

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 月額給与が88,000円以上(年収106万円以上)
  • 勤務期間が2カ月を超える見込み
  • 副業先の従業員が51人以上

これらの条件に該当する場合、副業先でも厚生年金と健康保険に加入しなければならなくなるため、結果的に社会保険料の負担が増えることになります。

社会保険料の負担が増えるリスク

副業先で社会保険に加入すると、本業と副業の合計収入に基づいて社会保険料が決まるため、通常よりも社会保険料の負担が増え、手取り収入が減る可能性があります。
特に、以下の点に注意が必要です。

  • 本業と副業の収入が合算されると、社会保険料の計算基準が上がる
  • 副業が増えたことで「給与収入が増えたのに手取りが減った」と感じることがある
  • 会社の給与明細で控除額が増え、思わぬ負担を感じることがある

「副業で収入が増えたはずだけど社会保険料が増加していて手取りが減った」というケースも起こりえます。事前に社会保険料の控除額(差し引かれる金額)を試算しておくことが大切です。

社会保険の加入手続きを怠った場合の注意点

副業先が社会保険への加入手続きを怠った場合、従業員にも不利益が発生する可能性があり、注意が必要です。
健康保険・厚生年金保険について、「虚偽の申請をする」「日本年金機構による加入指導に従わない」などの場合、6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が事業主に科されることがあります。加えて、本来支払うべきだった保険料を過去2年までさかのぼって納付することになる可能性もあります。
保険料は企業と従業員の双方が負担するもののため、さかのぼって納付する場合、多額の支払いが発生する可能性があるのです。副業の勤務先で社会保険に加入する必要がある場合には、適切に手続きが行われているかを確認することが重要です。

副業を始める前に確認すべきポイント

副業による社会保険の影響を回避するために、以下の点を事前にチェックしましょう

本業の会社に相談する

本業の会社によっては、副業を行うことで社会保険の適用条件が変わることを懸念するケースもあります。まずは自分の勤務先の担当者に「副業を始めても社会保険の加入に影響がないか」相談するのがおすすめです。

副業先の雇用契約を確認する

副業を始める際は、社会保険の加入条件を確認しておきましょう。

  • 労働時間が週20時間未満である
  • 月額給与が88,000円未満である
  • 短期の契約であるか(2カ月以内の雇用か)

これらの条件を満たす場合は副業先で社会保険に加入する必要が原則ありません。副業をする目的によりますが、労働時間や給与を調整することを確認しておきましょう。

まとめ

副業を始めると、社会保険の適用条件が変わる可能性があります。計画的な副業であれば問題ありませんが、追加収入を得るための副業のつもりが「知らないうちに社会保険料の負担が増えていた」とならないよう、事前に確認しておくことが大切です。

  • 労働時間が週20時間以上にならないか
  • 副業の給与が月88,000円以上にならないか
  • 本業の会社に相談しておくこと

これらのポイントを押さえておくことで、想定してなかった負担を避けることができます。
副業で収入を得るときの事前準備として、気をつけておくポイントを確認しておきましょう!


関連記事:派遣社員の副業(ダブルワーク)は可能?
関連記事:派遣社員が副業(ダブルワーク)を開始した際の割増賃金に関する注意点
本業と副業の労働時間を合算した際の残業代の扱いについて、具体的に説明しています。