派遣の落とし穴!?契約前&就業中に就業規則ココをチェック!

「就業規則」を見たことがありますか?

 

「なんか難しそう…」

 

「派遣だし、あんまり関係ないんじゃない?」

後々「え?聞いてなかった・・・」ということになりかねません。
派遣先企業のルールと派遣元(派遣会社)のルール、派遣社員は両方を見ていくため、少し混乱することがあるかもしれません。中には「それは法律上でそういうもの?」というルールや、「派遣社員には当てはまらないでしょう!」というものが紛れていることもあります。
事前にチェックしなかったことで、
「契約更新が不利になってしまったかも・・・」
「なんか不当に扱われてる気がする・・・」
と思ってしまったり、本当にそうなってしまうかもしれません。
そこで今回は、派遣社員の皆さんが契約前と就業中に「ここだけはチェックしておきたい!」というポイントを、事例を交えながらわかりやすく解説します。

退職後の制限!?「競業避止義務」の意味とは?

契約前にココを確認!
  • 派遣契約書や労働条件通知書に「競業避止義務」の記載がある?
  • 「退職後○年間、同業他社で働いてはいけない」という記載がある?
確認しておいた方がよい理由は?

憲法第22条で、退職後に自由に働く権利は保障されており、過度な制限(業界全体の就業禁止や長期間の制約など)は無効になる可能性が高いです。派遣社員の場合、「派遣元会社と派遣先会社のどちらが制限を設けているのか?」を特に注意しておきましょう。

今の契約の確認方法
  • 派遣会社に「競業避止義務の規定はありますか?」と聞いてみる。
  • 労働条件通知書や派遣契約書を隅々までチェックしてみる。
  • 派遣先の就業規則に「退職後の制限」がないか、を念のため確認してみる。

参考判例
大日本印刷事件(最判昭和45年7月20日):会社が「退職後2年間、同業他社への就職を禁止」としましたが、裁判所は「制限が過度である」として無効と判断しました。

残業代、ホントに出るの?「管理監督者」って何?

契約前にココを確認!
  • 「管理監督者」になっていないか?(契約書や就業規則に「管理職」と記載がないかをチェック!)
  • 残業代の扱いは?(「みなし労働時間制」が適用されていると残業代は支払われない?)
確認しておいた方がよい理由は?

「管理監督者」になると、残業代・休日手当が出ない可能性があります。「役職がついているだけ」では管理監督者にはなりません(労働基準法第41条)。派遣社員は基本的に管理監督者にはならないため、残業代は出るのが一般的です。

今の契約の確認方法
  • 労働条件通知書や給与明細で「残業代の支給有無」をチェックする。
  • 派遣先の就業規則で「管理監督者」の定義を確認する。
  • 不安なときは派遣会社に「私って管理監督者にあたるのでしょうか?」と聞いてみる。

参考判例
日本マクドナルド事件(東京地裁平成20年1月28日)
店長を「管理監督者」としたけれど、裁判所は「労働時間の自由もないし、給料も普通と変わらない!」として、残業代の支払いを命令した。

副業禁止って、ホント?派遣社員にも適用されるの?

契約前にココを確認!
  • 派遣元・派遣先、どちらの規則で副業禁止?
  • 副業の申請は必要?(事前許可制?自由?)
確認しておいた方がよい理由は?

副業の自由は、憲法第22条(職業選択の自由)で保障されています。しかし、「本業に支障が出る」「競業になる」場合は制限される場合があります。派遣社員は特に「派遣元(派遣会社)の就業規則」に従うことが多いことから、派遣先のルールと異なる場合もあります。

今の契約の確認方法
  • 派遣会社の就業規則で「副業禁止」の規定がないかをチェックする。
  • 派遣契約書や労働条件通知書に、副業についての記載がないかを確認する。
  • 不安なときは派遣会社に「副業しても大丈夫ですか?」と聞いてみる。

参考判例
三菱重工業長崎造船所事件(長崎地裁昭和53年3月20日):副業を禁止された労働者が「業務に支障はない!」と主張し、裁判所も「合理的な理由がない副業禁止は無効である」と判断した。

まとめ|派遣社員が契約前&就業中に確認すべきこと

契約前に確認すること!
  • 労働条件通知書・派遣契約書の「競業避止義務」「管理監督者の扱い」「副業制限」を確認しておく。
  • 「派遣先の就業規則」が適用される範囲を派遣会社に確認する。
  • 「契約更新の条件」や「残業代の支給条件」を派遣会社に質問しておく。
就業中に確認すること!
  • 残業があったときに給与明細で「残業代が支払われているか」を確認する。
  • 派遣先・派遣元の就業規則を確認し、わからないことは派遣会社に相談する。
  • 副業をする場合は、派遣会社に許可が必要かを確認する。

派遣社員は、派遣元会社と派遣先会社の両方のルールを確認する必要があります。少し大変かもしれませんが、「契約前の確認」と「就業中の確認」をしておくことで、一般的なルールと違った想定外のルールに縛られないようにしましょう。
そして、もし「この場合はどうなるのだろう?」と疑問に思った場合は、派遣会社や労働基準監督署に相談してみましょう。