副業(ダブルワーク)をすると残業代が発生する?

派遣社員の副業(ダブルワーク)の割増賃金に関する注意点。

労働時間の合算ルールに注意!

派遣社員として副業を始める際に、意外と見落としがちなのが「労働時間の合算」による割増賃金の発生です。
労働基準法では、複数の勤務先で働いている場合でも、労働時間は合算して計算されます。


「副業は別の会社だから関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、本業と副業の労働時間を合算した時間が、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えると、時間外労働が発生する可能性があります。


具体的にどのようなケースで問題が発生するのか見ていきましょう。

副業による割増賃金の発生条件
1日の労働時間が8時間を超えた場合

労働基準法では、1日8時間を超えて働いた場合、時間外労働とみなされ、通常の賃金に対して1.25倍以上の割増賃金(残業代)を支払う義務が発生します。

<例>
本業(派遣先企業):7時間勤務
副業(アルバイト):3時間勤務
合計労働時間:10時間
この場合、8時間を超えた2時間分は時間外労働とみなされ、割増賃金(1.25倍以上)を請求できる可能性があります。

1週間の労働時間が40時間を超えた場合

1日単位では8時間を超えなくても、週の合計労働時間が40時間を超えると、超過分は時間外労働として扱われます。

<例>
本業:週35時間勤務(1日7時間×5日)
副業:週10時間勤務(1日2時間×5日)
合計労働時間:45時間
この場合、5時間分が時間外労働となり、割増賃金の請求が可能になるケースがあります。

本業と副業のどちらの企業が割増賃金を支払うのか?

ここで問題になるのが、「本業と副業の労働時間を合算して、どちらの企業が残業代を支払うのか?」という点です。
本業のみ(1つの会社)で働いている場合は、その会社が割増賃金を支払います。しかし、本業と副業の両方で働いている場合、どちらの企業が残業代を負担すべきかが不明確になり、トラブルの原因になることがあります。
例えば、
副業先の会社は「残業代は本業の会社が支払うべき」と考え、本業の会社は「副業は自己責任だから、残業代の責任は副業先にある」と考えるような場合です。
このような状況になると、労働者が適正な割増賃金を受け取ることが難しくなります。
また、派遣社員の場合、派遣元企業と派遣先企業の両方が関与することになるため、より一層支払い責任が曖昧になりやすくなります。

副業開始前に確認すべきポイント

副業による割増賃金トラブルを避けるために、事前に以下の点を確認しておきましょう。

本業の会社に相談する

本業の会社によっては、副業を行うことで時間外労働の扱いが変わることを懸念するケースもあります。そのため、本業の勤務先に「副業を始めても労働時間の合算に問題がないか」相談するのがおすすめです。

副業先の雇用契約を確認する

副業を始める際は、以下の点をチェックしましょう。

  • 1日の労働時間が8時間を超えないか
  • 週の合計労働時間が40時間を超えないか
  • 副業先の契約書に「残業代の支払い条件」が明記されているか

特に、副業先が残業代の支払いに消極的な場合、トラブルになりやすいため、注意が必要です。

副業の労働時間を適切に管理する

割増賃金が発生するリスクを避けるためには、副業の労働時間をしっかり管理することが重要です。

  • 副業の勤務時間を短縮する(例:週10時間以内に抑える)
  • 週の合計労働時間が40時間を超えないように調整する
  • 副業をフリーランスや業務委託にすることで、雇用契約による制約を避ける

これらの対策を講じることで、余計なトラブルを避けることができます。

まとめ

副業を始めると、本業と副業の労働時間が合算され、1日8時間・週40時間を超えた場合に割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。

  • 本業+副業の労働時間を合計しても大丈夫か
  • どの会社が割増賃金を支払うのかを明確にしておくこと
  • 副業の勤務時間を適切に管理すること

これらのポイントをしっかり押さえておくことで、想定していなかったトラブルを避けることができます。
副業で追加収入を得る際には、事前に確認しておきましょう!
関連記事:派遣社員の副業(ダブルワーク)は可能?
関連記事:副業が社会保険に与える影響とは?
副業が社会保険の適用条件に与える影響や、保険料負担の増加について詳しく解説しています。