
経理と言えば、昔は「そろばん」、「電卓」の能力が必要とされていました。現在は、特にExcelの能力が必要と言われています。何故、Excelの能力が必要かというと、経理業務では、多くの場面でExcelが使われているからなのです。
具体的には、数値の集計・分析・照合・残高管理、共通費の按分、キャッシュフロー計算書・連結精算表・管理会計資料の作成、共有資料の役割など、経理の幅広い業務でExcelの機能が活用されています。
ここでは実際の経理部門が、どのような業務でExcelを使い、どのような関数を使っているか確認してみましょう。
経理部門で行う数値の集計作業の一例としては、勘定科目別内訳の集計・取引先別取引高の集計・特定の取引高の集計・取引件数の集計・決算組替処理などがあります。
SUM、SUMIF、SUMIFS、SUBTOTAL、COUNT、COUNTIF、COUNTIFS、AVERAGE、ピボットテーブルなど
経理部門で行う数値の分析作業の一例としては、費用収益の増減分析・予実差異分析・前年比較分析・原価差異分析・収益性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析、活動性分析・ABC分析などがあります。
SUM、SUMIF、SUMIFS、IF、IFS、IFERROR、ROUND、ROUNDDOWN、ROUNDUP、ピボットテーブルなど
経理部門で行う数値の照合作業の一例としては、売掛金消込・買掛金及び未払金の消込・その他各勘定科目の内訳別消込・勘定内訳書と精算表の照合などがあります。
SUM、SUMIF、SUMIFS、IF、IFS、VLOOKUP、HLOOKUP、MIDなど
経理部門で行う数値の残高管理作業の一例としては、預金口座別残高管理・取引先別残高管理・前払費用取引先別残高管理・借入金銀行別種別残高管理・リース債務残高管理・未経過勘定項目別残高管理・地代家賃物件別残高管理などがあります。
SUM、SUMIF、SUMIFS、IF、IFS、ピボットテーブルなど
経理部門では、共通費を一定の配賦基準に基づいて按分し各部門に計上していく作業を行うことがあります。一例としては、間接人件費の配賦・間接経費の配賦・管理部門経費の配賦などがあります。
SUM、IF、IFS、VLOOKUP、VLOOKUPなど
経理部門では、キャッシュフロー計算書をExcelで作成することが多いです。間接法のキャッシュフロー計算書は、2期間のBSおよびPLから作成され、主に差額計算と条件式を使います。
SUM、SUMIF、IFなど
経理部門では、連結精算表をExcelで作成することが多いです。グループ会社のBS、PL、CRから個別修正仕訳、連結修正仕訳を作成し、連結精算表を作成します。連結財務諸表も組替処理を行って作成します。
SUM、SUMIF、SUMIFS、IFなど
経理部門では、管理会計資料をExcelで作成することが多いです。一例としては、予算前年実績比較資料・部門損益計算書・プロジェクト損益計算書・変動損益計算書・KPI(重要業績評価指標)資料・固定資産増減明細などがあります。
SUM、SUMIF、SUMIFS、SUBTOTAL、COUNT、COUNTIF、COUNTIFS、AVERAGE、ピボットテーブルなど
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経理部門では、Excelを使う場面が非常に多いというのはご理解できたと思います。ただし、むやみにExcelを練習してもあまり上達しません。ここでは、経理のプロが推奨するExcel上達の近道を伝授したいと思います。その秘訣は、下記の順番に慣れていくこと、ただそれだけです。
「Alt + Tab」と「Windows + Tab」を使えるようにしましょう。
「Windows + ←」と「Windows + →」
これだけ覚えるだけで格段に操作スピードがあがります。
Ctrl+C | コピー |
---|---|
Ctrl+V | 貼り付け |
Ctrl+↑ | 移動 |
Ctrl+↓ | 移動 |
Ctrl+← | 移動 |
Ctrl+→ | 移動 |
Ctrl+Shift+↑↓←→ | 選択 |
Shift+↑↓←→ | 選択 |
Ctrl+A | 選択 |
Ctrl+PageDown | シート |
Ctrl+PageUp | シート |
Home | 移動 |
Ctrl+Home | 移動 |
Ctrl+F | 検索 |
Ctrl+Shift++ | 挿入 |
Ctrl+? | 削除 |
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これだけの関数を覚えれば、経理業務の殆どの業務に対応できるようになります。
SUM | 指定した範囲の数値を合計します |
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SUMIF | 指定した範囲の中から、指定した条件に一致するセルの数値を合計します |
SUMIFS | 指定した範囲の中から、複数の条件に一致するセルの数値を合計します |
SUBTOTAL | 指定したセルの値を、指定した集計方法(平均・合計・個数など)で集計することができる関数です |
COUNT | 指定された範囲内の数値が入力されたセルの個数を数えます |
COUNTIF | 特定の条件に一致するセルの数をカウントします |
COUNTIFS | 複数の条件に一致するセルの数をカウントします |
AVERAGE | 指定した数値の範囲の平均値を計算します |
IF | ある条件が真の場合と偽の場合で異なる値を返すための関数です |
IFS | 複数の条件を順番に評価し、最初に真となる条件に対応する値を返す関数です |
IFERROR | 数式の結果がエラーになった場合に、エラー値を表示する代わりに、指定した別の値を表示する関数です |
ROUND | 指定した桁数で数値を四捨五入します |
ROUNDDOWN | 指定した桁数で数値を切り捨てます |
ROUNDUP | 指定した桁数で数値を切り上げます |
VLOOKUP | Excelで指定した範囲の表を縦方向に検索し、検索値に一致するデータに対応する別の列の値を返す関数です |
HLOOKUP | Excelで横方向に並んだデータの中から、特定の値を検索し、指定した行の値を返す関数 |
MID | 文字列の中から指定した位置から、指定した文字数分の文字列を抽出する関数です |
Excelのピボットテーブルとは、大量のデータを集計・分析するための機能です。データを様々な角度から集計・分析できるため経理の現場でも活用されています。
経理処理の基本は簿記ですが、経理作業をする上でExcelは欠かせないツールであり、Excelが上達すれば、作業スピードが上がり時間的な余裕が生まれます。時間的な余裕ができると、チェック作業に時間を費やせるので品質の良い業務ができたり、新たな業務にチャレンジさせてもらえます。
これらのスキルアップ手法は実際に経理コンサルタントを養成する教育現場で実際に行われている手法でありExcelの上達の近道です。多くの経理派遣スタッフの参考なれば幸いです。