経理業務における課題とは?部署と企業が行う改善策も解説

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企業の経営者や管理職の方々にとって、こうした「経理業務」に関する悩みは、尽きることがないのではないでしょうか。

経理は、会社のお金の流れを管理し、経営状態を正確に把握するための、いわば「企業の心臓部」ともいえる、極めて重要な部門です。しかし、その重要性とは裏腹に、多くの企業で、その業務プロセスは旧態依然としたままであり、様々な課題やリスクを内包しているのが実情です。

経理部門の機能不全は、単なる一部署の問題に留まりません。それは、企業のキャッシュフローを悪化させ、経営判断を遅らせ、そして最終的には、会社全体の成長を阻害する、深刻な経営課題なのです。

この記事では、そんな多くの企業が抱える経理業務の典型的な課題を明らかにし、それを解決するための具体的な改善策を、「部署レベルでできること」「企業レベルでできること」の両面から、体系的に、そして徹底的に解説していきます。

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経理業務とは?

経理とは、企業における「お金の流れ」と「取引」を、日々、正確に記録・計算・管理する業務全般を指します。その範囲は非常に広く、日々の伝票起票や記帳、現金出納管理といった日常的な業務から、請求書の発行や支払い、売掛金・買掛金の管理、従業員の給与計算、そして月次・四半期・年次の決算書の作成まで、多岐にわたります。
これらの業務は、企業の財産状況や、経営成績を、財務諸表という形で、株主や金融機関、税務署といった外部のステークホルダーに対して、正確に報告するために不可欠です。

経理業務における課題

企業の成長を支える重要な経理業務ですが、多くの企業で、様々な課題を抱えています。
ここでは、その中でも特に代表的な5つの課題について見ていきましょう。 

課題@業務が担当者に依存しやすい

経理業務は、専門的な知識や、長年の経験を要する場面が多く、どうしても特定の担当者に業務が集中し、依存してしまう「属人化」が起こりやすい、という大きな課題があります。 「この業務は、〇〇さんしか分からない」「マニュアルはなく、全ては〇〇さんの頭の中にある」といった状態は、非常に危険です。その担当者が、急に病気で休んだり、退職してしまったりした場合、途端に経理業務が滞り、最悪の場合、決算が組めない、支払いができないといった、事業の継続を揺るがす事態に発展しかねません。
特に、経理担当者が1名しかいない、といった中小企業において、この属人化は、常に抱える経営リスクといえます。

 

課題A心理的負担が大きく業務が進みにくい

経理の仕事は、1円の誤差も許されない、極めて高い正確性が求められます。また、月末月初や、決算期といった、特定の時期に、業務量が爆発的に増加するという特徴もあります。 常に「間違えてはいけない」というプレッシャーの中で、膨大な量の伝票や請求書を処理し、厳しい納期に追われる。
こうした状況は、経理担当者にとって、非常に大きな心理的負担となります。この過度なストレスが、ケアレスミスの原因になったり、心身の不調を引き起こして、休職や退職に繋がってしまったりするケースも少なくありません。 

課題B頻繁な法改正に対応する必要がある

経理業務は、消費税法や法人税法、あるいは電子帳簿保存法といった、様々な法律や制度と、密接に関わっています。
そして、これらの法制度は、毎年のように改正が行われます。 近年では、2023年10月に開始された「インボイス制度」への対応が、多くの企業にとって、大きな負担となりました。こうした、頻繁な法改正の情報を、常にキャッチアップし、自社の業務フローやシステムを、正しく対応させていく必要があります。この対応が遅れると、追徴課税などのペナルティを受けるリスクもあり、担当者には、常に最新の知識を学び続ける姿勢が求められます。 

課題C経理担当者一人あたりの業務量が多い

多くの中小企業では、経理部門に十分な人員を配置できていないのが実情です。一人の担当者が、日々の記帳から、給与計算、決算業務まで、経理だけでなく、時には総務や人事の業務まで、幅広い業務を兼任しているケースも珍しくありません。 限られた時間の中で、膨大な量の業務をこなさなければならず、どうしても一つひとつの作業が雑になったり、チェック体制が甘くなったりしがちです。慢性的な業務過多は、ミスの発生や、不正の温床となるリスクを、常に内包しています。 

課題D電子化が進んでいない

日本の企業の多くで、いまだに紙ベースのアナログな経理業務が行われていることも、大きな課題です。請求書は、紙で印刷して郵送し、受け取った請求書や領収書は、糊で台紙に貼り付けて保管する。こうした、ペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れは、業務の非効率性を生む、最大の原因となっています。 紙の書類は、保管スペースを圧迫し、過去の書類を探し出すのにも、多大な時間がかかります。また、出社しなければ業務ができないため、リモートワークといった、柔軟な働き方への対応を阻害する要因にもなっています。

部署が実施する経理業務における課題の改善策

では、こうした課題を解決するために、まずは、経理部門の内部で、現場レベルで取り組める改善策について、3つのポイントをご紹介します。 

改善策@経理業務の可視化

属人化を防ぎ、業務の非効率な部分を見つけ出すための、最初のステップが「業務の可視化」です。 現在、経理部門で行われている全ての業務を、一つひとつ詳細に洗い出し、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行っているのかを、リストアップします。そして、それぞれの業務の流れを、フローチャートなどの形で、誰の目にも分かりやすく図式化し、「業務マニュアル」として文書化します。
この作業を通じて、特定の担当者しか知らない「ブラックボックス化」した業務がなくなり、業務全体の流れが、明確になります。これにより、無駄な作業や、重複している工程を発見しやすくなるだけでなく、急な担当者の不在時にも、他の人が業務を代替できる体制の、基礎ができます。 

改善策Aフォーマットの統一

経理業務では、請求書や、経費精算書、稟議書といった、様々な帳票を扱います。これらのフォーマットが、部署や担当者ごとにバラバラであったり、手書きであったりすると、確認や入力作業に、余計な時間と手間がかかり、ミスの原因にもなります。
社内で使用する、全ての帳票のフォーマットを統一し、できれば、Excelや共有のスプレッドシートなどで、電子化されたテンプレートを用意しましょう。入力する項目や、ルールを標準化することで、誰が作成しても、同じ品質の書類が作成できるようになり、その後の処理も、格段にスムーズになります。 

改善策BITリテラシーの向上

今後、経理業務の効率化を進める上で、ITツールの活用は避けて通れません。経理部門のメンバー全員が、基本的なITスキルを身につけることが重要です。 例えば、Excelの関数や、ピボットテーブルといった機能を使いこなせるようになるだけで、手作業で行っていたデータ集計作業を、大幅に効率化できます。また、新しく導入する会計ソフトや、経費精算システムなどを、スムーズに活用するためにも、基本的なPC操作や、クラウドサービスへの理解といった、ITリテラシーの向上が不可欠です。社内での勉強会や、外部の研修などを活用し、部署全体のスキルアップを図ることが望まれます。

企業が実施する経理業務における課題への改善策

現場レベルでの改善と並行して、経営層が主導し、全社的な視点で取り組むべき、より抜本的な改善策について、5つのポイントをご紹介します。 


改善策@ペーパーレス化の推進

紙の書類を、電子データに置き換える「ペーパーレス化」は、業務効率化の大きな鍵を握ります。 請求書や領収書を、電子データでやり取りすることで、印刷や郵送、そしてファイリングといった、物理的な作業が、全て不要になります。過去の書類を探す際も、ファイルが山積みになった書庫を探し回る必要はなく、パソコン上で、キーワード検索するだけで、瞬時に見つけ出すことができます。 ペーパーレス化は、コスト削減や、業務効率化だけでなく、保管スペースの削減や、リモートワークの実現といった、多くのメリットをもたらします。 


改善策AITツールの導入とDXの推進

ペーパーレス化を、さらに推し進めるのが、クラウド会計ソフトや、経費精算システム、請求書発行システムといった、ITツールの導入です。 これらのツールを導入し、これまでバラバラに管理されていた、販売、購買、会計といったデータを連携させることで、経理業務全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できます。 例えば、銀行口座の入出金データが、会計ソフトに自動で取り込まれ、AIが自動で仕訳を提案してくれたり、請求データと入金データが、自動で照合されたりします。こうしたDXの推進が、経理担当者を、単純な入力作業から解放し、より高度な分析や、管理業務へとシフトさせることを可能にします。 


改善策Bアウトソーシングの活用

経理業務の一部、あるいは全てを、外部の専門業者に委託する「アウトソーシング」も、非常に有効な解決策です。 特に、人手不足が深刻な中小企業や、経理担当者が急に退職してしまった、といったケースでは、即戦力となる専門家の力を借りることで、事業を止めることなく、高品質な経理業務を維持することができます。 日々の記帳代行や、給与計算といった、定型的な業務をアウトソーシングすることで、社内の経理担当者は、資金繰り管理や、経営分析といった、よりコアな業務に集中できるようになります。



改善策C適切な人材の採用

長期的な視点で見れば、経理部門の体制を強化するための、適切な人材の採用も、重要な経営課題です。 しかし、経理職は専門性が高く、特に、マネジメント能力や、DX推進のスキルを持った、優秀な人材の採用は、非常に困難になっています。

人材紹介サービスなどを活用するだけでなく、未経験者を採用し、社内で長期的に育成していく、という視点や、あるいは、正社員にこだわらず、専門性の高いスキルを持つ派遣社員や、業務委託のプロフェッショナル人材を活用する、といった、多様な選択肢を検討する必要があります。 


改善策Dキャッシュレス化の推進

従業員の経費精算においては、現金の立て替えをなくし、「法人カード」や「交通系ICカード」などを活用した、キャッシュレス化を推進することも、業務効率化に大きく貢献します。 キャッシュレス決済であれば、利用履歴がデータとして自動で記録されるため、従業員は、面倒な領収書の貼り付けや、精算書の作成作業から解放されます。
経理担当者も、現金の取り扱いや、領収書のチェックといった、煩雑な作業を大幅に削減することができます。

経理業務を改善するメリット

こうした改善策を実行することで、企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。 

メリット@人為的ミスを防止できる

システム化や自動化によって、手作業によるデータ入力や、転記のプロセスをなくすことで、請求金額の間違いや、二重計上といった、ヒューマンエラーを、根本から防止することができます。正確な経理処理は、企業の信頼性の基盤です。 

メリットA本業に集中できるようになる

経理担当者が、単純な定型作業から解放されることで、より付加価値の高い、コア業務に集中できる時間を生み出します。経営者や、他の部門の従業員も、経理に関する煩雑な手続きから解放され、それぞれの本来の業務に、専念できるようになります。 

メリットB経理業務のコストを削減できる

ペーパーレス化による、紙や印刷、郵送にかかる物理的なコストの削減はもちろんのこと、業務効率化による、残業代などの人件費の削減も期待できます。また、アウトソーシングを活用すれば、新たに正社員を一人雇用するよりも、大幅にコストを抑えられる場合があります。 

メリットC経営陣への迅速な情報提供が可能になる

経理データが、リアルタイムで、そして正確に管理されるようになることで、月次決算の早期化が実現します。これにより、経営者は、自社の最新の財務状況を、迅速に把握することができ、よりスピーディーで、的確な経営判断を下すことが可能になります。

経理業務を改善するステップ

では、実際に業務改善は、どのようなステップで進めていけば良いのでしょうか。 

ステップ@業務内容をすべて書き出す

まず、現状を正確に把握するため、経理部門で行われている全ての業務内容を、リストとして、抜け漏れなく書き出します。日次、週次、月次、年次といった、時間軸で整理すると、分かりやすくなります。 

ステップA無駄な作業を削ぎ落とす

書き出した業務リストを元に、それぞれの作業に、本当に価値があるのかを、見直していきます。
この際に役立つのが、業務改善のフレームワークである「ECRS(イクルス)の4原則」です。

 
  • E (Eliminate:排除):その作業は、そもそも無くせないか?
  • C (Combine:結合):複数の作業を、一つにまとめられないか?
  • R (Rearrange:再配置):作業の順序を、入れ替えられないか?
  • S (Simplify:単純化):もっと、簡単な方法でできないか?

この4つの視点で、既存の業務を徹底的に見直し、無駄を削ぎ落としていくことで、業務プロセスの本質的な改善に繋がります。

ステップB課題を見つけて改善策を実施する

無駄を削ぎ落とした上で、それでも残る課題(属人化、非効率など)を特定し、それに対する具体的な改善策(マニュアル化、システム導入、アウトソーシングなど)を立案し、実行に移します。一度に全てを変えようとせず、優先順位をつけ、スモールスタートで始めることが、成功の鍵です。

課題解決のために経理業務をアウトソーシングするメリット

数ある改善策の中でも、特に、人手不足や、属人化といった、根深い課題を抱える企業にとって、大きな効果を発揮するのが「アウトソーシング」です。 

メリット@人材不足を解消できる

経理の専門知識を持つ、優秀な人材の採用は、非常に困難です。アウトソーシングを活用すれば、採用活動にかかるコストや時間をかけることなく、即戦力となるプロフェッショナル人材の能力を、すぐに活用することができます。経理担当者の、急な退職時の穴埋めとしても、極めて有効です。

メリットA本業に集中できるようになる

日々の定型的な経理業務を、外部の専門家に完全に任せてしまうことで、経営者や、社内の従業員は、本来集中すべき、自社の製品やサービスの開発、営業活動といった、コア業務に、全てのエネルギーを注ぎ込むことができます。 

メリットB内部不正や人為的ミスを防止できる

経理業務を、社内の特定の担当者一人に任せきりにしていると、残念ながら、横領などの内部不正が発生するリスクも、ゼロではありません。アウトソーシングを導入し、第三者の専門家の目を入れることで、こうした不正に対する、強力な牽制効果が働きます。また、プロによる、チェック体制の整った業務遂行により、人為的なミスを、限りなくゼロに近づけることができます。 

メリットC法改正に対応しやすくなる

アウトソーシング会社は、常に、最新の税制や、法改正の情報をキャッチアップしています。インボイス制度や、電子帳簿保存法といった、複雑な法改正への対応も、専門家として、的確に、そしてスムーズに実行してくれます。法改正のたびに、自社で対応策を検討する、といった手間から、完全に解放されます。

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ここまで、経理業務の課題と、その改善策について解説してきましたが、特に、
「日々の経理業務を回す人材そのものが足りない」
「経理担当者が退職してしまい、業務が止まってしまう」といった、より深刻な課題をお持ちの企業様にとっては、コンサルティングだけでなく、経理業務そのものを、外部の専門家に任せてしまうアウトソーシングが、最も直接的で、効果的な解決策となります。
私たちRSTANDARDは、経理業務のアウトソーシングを専門とし、数多くの企業様のバックオフィス業務を支えてきた、プロフェッショナル集団です。 日々の記帳代行から、請求書発行、入金管理、月次決算、そして給与計算まで、貴社の経理部門が担う、あらゆる業務を、丸ごと、あるいは必要な部分だけ、柔軟に代行することが可能です。 私たちは、単に言われた作業をこなすだけではありません。貴社の業務プロセスに入り込み、その中で見つけた非効率な部分や、改善点を、プロの視点から積極的にご提案します。つまり、実務の代行と、経理コンサルティングを、同時に提供できるのが、私たちの最大の強みです。

経理の課題はそのまま経営の課題

今回は、多くの企業が抱える「経理業務の課題」と、その具体的な改善策について、体系的に解説しました。 経理業務の非効率性や、属人化といった課題を放置することは、目に見えない人件費や、ミスの修正にかかるコスト、そして何よりも、企業の成長機会の損失という、非常に大きな「見えないコスト」を、毎日支払い続けていることと同じです。
その課題を直視し、業務プロセスの改善や、ITツールの導入、そして時には、アウトソーシングという、外部の専門家の力を借りる、といった、抜本的な改革に踏み出すことが重要です。

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