連結決算とは・作成の手順や注意点

企業グループを持つ会社で働いているという方であれば、連結決算という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。
経営状況を把握できる手段として使われますが、単純に作れるものではありません。
ルールを守った書き方が求められるため、間違った情報を記載してしまうと、トラブルに発展してしまいかねません。
そこで正しい作業を行うために肝心な、内容や重要度、注意すべきことや手順などを株式会社RSTANDARDが解説いたします。

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連結決算とは

国内や海外関係なく関連会社を含めた決算を指す言葉です。
つまり組織全体の情報を明らかにすることを目的として作られます。
注目され始めたのは1978年の3月期でしたが、当時は単独で行うことが重要視されていたこともあり、あまり浸透することはありませんでした。
そしてはっきりと使われるようになったのは、2003年3月期に行われたディスクロージャー制度の見直しがあったことがきっかけです。

その結果、投資の判断材料として活用できることが注目されるようになり、中心的な書き方として捉えられるようになりました。

連結決算の対象となる会社

基本的に関連するすべてが対象とされますが、影響度や重要性が小さいと判断されるケースでは、対象外として扱うことも可能です。
ここでの影響度や重要性とは、経営を進めていく際に持っている売上や資産、役割などによって決められます。
対象から外れるルールは特に決められておらず、何も問題がなければそのまま公開できます。
もし対象外ではないと判断された場合は、しっかりと書類の作成を行うようにしましょう。

連結決算の必要性・義務

連結決済は任意で行うものではなく、1にして行わなければならないものとなっています。
かつての日本では、決算が行われる前に、含み益や含み損のある有価証券や土地を譲り渡したり、販売を増加させたりして利益を生もうとする企業が少なくありませんでした。
そのため実態が掴みにくいケースが続いてしまったこともあり、組織間の利益が除かれるようになった経緯があります。

また、英国や米国企業との成果を比較するためにも、もはや欠かせないものとなりました。
さらに現在では、日本で導入が進行しているIFRS(国際財務報告基準)でも重要性がさらに高まってきているといえるでしょう。

関連記事:決算業務を行う理由・時期は?具体的な手順や必要書類・効率化の方法

連結決算導入のメリット

連結決算導入のメリットとして、組織の状況を把握できることから、不正な利益の発生を避けることが可能です。
さらに透明性も持たせられるため、融資が受けやすくなる効果も期待できます。
作成する際には、自社以外の情報もまとめる手間や負担はかかってしまいます。

しかし、業務を安全に実態を透明化できるメリットは、手間をかけてでも作業を進める十分な理由となるのではないでしょうか。

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連結財務諸表とは

1つの集合体として作られることから、それぞれ個別で作成した後に、帳消しといった修正を行なったものをまとめます。
残しておくべきものと残してはいけないものをしっかりと区別して、記載情報に間違いがないようにご注意ください。

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連結財務諸表の目的

  • 1.損失や資産を関係会社に持たせる「飛ばし」行為を防ぐこと
  • 2.不正に利益を操作する行為を防ぐこと
  • 3.組織全体の業績を公にすること

などが目的として挙げられます。 特に不正行為は、事実だと勘違いしてしまった人々が増加してしまいかねません。

そうならないために、企業グループ全体で合算することで、間違いのない正確な状況を明らかにして、不正が行えない環境を作り出すことが狙いです。
このように組織の不正を防止し、実態を正しく把握することができれば、より安全に多くの会社や企業、個人が経済活動を行えるようになるでしょう。
不自然な調整は不正として罰せられる可能性もあるため、ごまかしや嘘の情報を扱ってはなりません。
個人であれば責任は一人のものとなりますが、全ての関係者が扱う情報なので疑いがかかるようなことは避けるようにしてください。

連結決算表の構成

連結決算表が構成されている4つの種類を紹介します。
それぞれの作成書類がどういったものなのか分かっていなければ、どういったものなのか理解することができなくなってしまいかねません。

連結貸借対照表

財務状況をまとめた書類を指す言葉です。
全部の会社の会計情報をまとめて行く時には、組織間で生まれたお金を帳消しにしなければなりません。
親元の会社の、支配力がある場合は子会社で全部連結を行い、関連会社への影響がある場合は待分法が取られる仕組みとなっています。
また、持分法で計算を行う場合は持ち株比率に応じた金額だけを加算し、全部連結では少数株主に属している金額も、いったん加算される違いがある点にはご注意ください。

連結損益計算書

組織の経営成績をまとめて作られるものです。この場合でもチームの売り上げは除外しなければなりません。
あくまでも正確な損益の状態を知るために行われるものなので、親子間取引の修正を忘れずに行うようにしましょう。
取引があった時にお互いにしっかりと記録しておくようにしておけば、修正作業に苦労することもなくなります。

連結キャッシュフロー計算書

会計期間によって発生したキャッシュフローつまりは、収入と支出の状況を記載するものです。
会計期間に行われた投資活動や営業活動、財務活動それぞれに区分して状況を把握することを目的としています。
作成するための方法は、各会社のキャッシュフロー計算書から作成していく方法と、連結貸借対照表と連結損益計算書の2つから作成する方法があります。
原則法ではキャッシュフロー計算書から作成することとなっていますが、連結貸借対照表と連結損益計算書を使用した作成方法が使われます。

連結株主資本等変動計算書

純資産を扱う中で、変動が起きたことについて報告するための計算書です。
株主資本について記載する項目では、変動が起きた理由についてその都度、別々にまとめていく形をとります。
それ以外の項目となる部分は、変動事由もしくは純額のみでまとめていくのか選べる点が大きな特徴といえるでしょう。

このような4つの内容をまとめた情報を正確に記載していかなければなりません。
外部の人たちが全体像を把握するためにも、正確な情報をそれぞれの会社が公開することが求められます。
その他の企業との信頼関係を築く上でも、記載する情報は重要な役割を持つので嘘偽りなく作ることを心がけましょう。
真実とは異なることを記載してしまうと、関係者だけでなく外部の様々な人たちからの信用を失うことにもつながります。

連結決算の手順

どのような手順で行われるのか順序立てて説明していきます。
手順を統一して作成が行えるように、共通認識を持っておけば作業もスムーズに行えるようになるでしょう。

手順1.個別財務諸表を作る

個別決算は組織の財政についての情報をまとめるものなので、会社ごとの情報がなければ作られません。
そのため、まずはそれぞれで書類の作成を行うことになります。この時に大切なのが会計方針を統一した作業を行うことです。
異なる書き方をしていては、何が同じものなのか分からなくなってしまうことで統合ができなくなってしまいかねません。
そうならないためにも、どのような書き方で統一していくのか共通認識を持っておくことが何よりも大切です。

もし環境が整っていないという場合は、後からの手間を省く意味も込めて見直しを検討することをおすすめします
間違いやミスが起こる前に、同じ内容を違う表現で書くことは避けるようにしましょう。

手順2.合算

それぞれの重要書類の作成が終わったら、次はそれらをまとめる作業を行っていくことになります。
作業を行うときは、再度間違ったところがないかしっかりと確認をした上で、ミスや記載漏れがないように慎重に行いましょう。
少しでもずれが出てしまうと正式な書類とは認識されず、最初から見直しをしなければいけなくなってしまいます。

手順3.連結パッケージを受け取る

連結パッケージとは、連結の修正を行なうために必要な情報がまとめられたデータのことを言います。
その内容は、親元の会社との取引高から始まり、まだ販売されていない商品の金額などを記載します。
ここで扱われる情報が正確であればあるほど、それぞれの数値についての確認が円滑に行えるようになるでしょう。

手順4.連結修正を行う

連結修正とは、組織間の損益を取り除くことで組織の現状を明らかにすることです。
純粋にどれだけの成果を出したのか知るためにも重要な項目となるので、 漏れのない修正をしていきましょう。
どのような仕訳を行うのかについての詳しい内容は、後述させていただきます。

手順5.連結財務諸表を作成する

全ての工程を終えた最後に行うことは、その情報を一つにまとめる連結財務諸表の作成です。
ここで書いていく情報を間違えてしまっては本末転倒なので、誤情報がないか、間違った書き方をしていないかチェックしながら作業を進めましょう。
細心の注意を払いながら、内容に不備や問題がなければ全作業の完了です。

さらに間違った情報があると組織全体に迷惑をかけることにもなりかねないため、責任を持って提出を行わなければなりません。

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連結修正の仕訳

連結修正ではどんなことを行うのか、内容と方法について解説します。
正しい修正を行うためにも、どんなものがあるのかしっかりと確認して見落とさないようにしましょう。

親子間取引の相殺

組織間で行われた、売上取引や仕入取引などの結果は取り除かなければなりません。
例えば売上取引で100,000円の売り上げがあった場合、売上高と売上原価からその数の100,000円を相殺することになります。
このように組織間で生まれた売上を取り除かなければ、企業が利益のかさ増しするようなこともできてしまうので、責任を持って作業にあたるようにしましょう。
組織間でお金が動くような時には記録をしっかりと行なって、取り除きがスムーズに行えるように準備しておくことをおすすめします。

未実現損益の消去

未実現損益とは組織間で当期に外部へ販売されなかった、内部に残されている商品が計上された利益のことを指します。
当期の売上に対応する分しか、当期の原価は計上できない決まりとなっています。
そのため、関連会社に商品を売りつけて利益を上乗せするといったことがないように、未実現損益は除くかなければなりません。
間違って記載してしまうと何か不正をしたのではないかと怪しまれることになるので、情報に誤りがないか最後までしっかりと確認を行ってください。

連結決算の注意点

連結決算で最も注意すべきポイントは、やはり組織間の売上を取り除かなければならない点です。
組織間で生まれる売上の管理がしっかりと行われていないと、その都度確認を行わなければならなくなるため、作業に携わる多くの人々の負担が大きくなってしまいます。
また取引についての情報だけでなく、日頃の損益について統一した記録の取り方をしていないと情報がバラバラになってしまうので、組織で共通した書き方をするようにしましょう。
後は間違った情報は使わないように注意して、一貫した管理と書き方の指導を行うなどスムーズに正しい記載が行える環境づくりも重要です。
お互いが同じ書き方をするように注意してチェックし合えるような環境であれば、修正や報告にも時間をかけずに済むようになるでしょう。

まとめ

連結決算はグループとなる親会社と関連会社の財政状況を正しく認識するために、必要不可欠な書類のひとつです。
正しく正確な作業を行うためには、組織間の情報や連結決算を行う上でのルールの共有を行わなければなりません。
個別で作らなければならない書類を、組織全体の書類として集計して作成するのは面倒に感じることもあるでしょう。

そんな場合、外部リソースを有効に使うことをおすすめします。
専門知識やノウハウ持ったスタッフが担うことで、短時間で多くの業務を効率よくこなすことが期待できます。
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