健全な企業経営を続けていくためには、法人税に関する正しい知識が欠かせないものです。しかし、基本から理解できている人は少ないのではないでしょうか。
理解できていると享受できるメリットは多くありますが、もし理解が浅い、もしくは間違っている場合、無駄なコストが発生することはもちろん罰則に触れる可能性があります。
健全な企業経営をするためにも、法人税については理解を深めておくことをおすすめします。
本記事では必要な法人税の基本的な知識についてまとめました。さらに、税務申告のポイントや節税対策の具体的な方法など、実践的な情報を提供することで、経理業務と健全な経営に役立つ記事となっています。
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経理業務に関わる人にとって、法人税の基礎知識は重要です。
法人税とは、法人が事業活動によって得た利益に対して課せられる税金のことを指します。ここでは、法人税に関する基本的な知識について5つの観点から解説します。
先ほど述べたように、法人税とは、法人が事業活動によって得た利益に対して課せられる税金のことです。
そもそも税金には、国に納める「国税」、都道府県や市町村に納める「地方税」があります。
法人税は国税に分類され、さらに地方税として「法人住民税」と「法人事業税」があり、これらの3つをまとめて「法人税等」と呼ぶので覚えておきましょう。
また、所得税との違いがわからない人もいるかもしれませんが、法人税と所得税は異なります。
法人税は法人が事業活動によって得た利益に対して課税されるのに対し、所得税は個人が個人の所得に対して納める税金です。まずは、法人と個人の区別を理解することからはじめましょう。
所得税は税率の計算はシンプルなものですが、法人税には事業税や住民税に対しても課税対象となるため、複雑な計算が求められることにも注意してください。
ちなみに、法人税は最大23.20%の税率です。つまり黒字額が大きくなろうと、それ以上の税率はかかりません。
一方で所得税は累進課税方式であることから、所得に税率がかかります。つまり、利益が増えるほど税率も上がるシステムである点も違いといえます。
法人税は特定の法人の形態に課せられます。
一般的な法人形態には、株式会社、合同会社、有限責任事業組合などがあります。これらの法人形態によって異なる法人税のルールが適用されます。
一方で、課税対象とならない法人もあります。それらを大きく分けると、公益法人等と公共法人、人格のない社団の3つです。
上記の3つに該当する法人は、社会公益性の高い事業をしていると判断され、基本的に非課税扱いとなります。例外として、公共法人以外の法人が、不動産や物品販売で収益を出した場合、法人税の課税対象となることを定めています。
法人税が課せられる所得には、法人が事業活動や資産運用などで得た利益が含まれます。
具体的な所得の例としては、営業利益や貸借対照表上の利益、有価証券の売却益などが挙げられます。
法人は所得金額から必要経費や減価償却費などを差し引いた金額に対して法人税率を適用し、その税額を納めます。
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法人税の計算式は、「所得=益金(売上収入や売却収入)−損金(売上原価や販売費、損失費用)」となります。よりシンプルにいえば、「課税所得×法人税率」です。
課税所得とは、法人の会計上の利益を税法上の利益として調整した金額のことを指します。
法人税率については、法人の種類と規模によって以下の形で定められています。(ただし、開始事業年度が2022年4月1日以後の場合)
区分 | 法人税率 | |||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など | 年間所得 800万以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% |
適用除外事業者 | 19% | |||
年間所得800万越の部分 | 23.20% | |||
上記以外の普通法人 | 23.20% | |||
協同組合等 | 年間所得800万以下の部分 | 15% | ||
年間所得800万越の部分 | 19% | |||
公益法人等 | 公益社団法人 公益財団法人 非営利型法人など | 収益事業から生じた所得で 年800万円以下の部分 | 15% | |
収益事業から生じた所得で 年800万円超の部分 | 23.20% |
法人税の計算方法は複雑ですが、一般的には所得金額に法人税率をかけることで税額が求められます。
法人税率は、上記の表のとおり所得金額などによって異なるため、所得金額の範囲に応じて税率を確認する必要があります。また、法人税の特例や減税制度なども存在するため、それらの活用も検討する価値があります。
法人税は法人が利益を上げた場合に課される税金であり、適切な計算を行うことは企業の健全な経営に欠かせません。
以下では、法人税を計算する際の重要なポイントを解説します。
法人税の申告と納付対応は、事業年度の終了日から2カ月以内に行う必要があります。
申告書を作成したあとは、納付書も忘れずに対応しましょう。納付書は税務署から郵送で受け取ることも可能であり、最近ではe-taxなどを利用して電子納税もできます。
法人税の計算においては、中間申告と納税のルールにも注意が必要です。
中間申告は通常の申告期限前に行われる追加申告であり、予想納税額を算出するために重要な手続きです。
中間申告を行うことで、年度末までに支払うべき法人税額を把握し、財務計画を立てることができます。また、納税に関しても期限や方法、支払いのタイミングなどを正確に把握しておくようにしましょう。万が一、遅延や誤った納税は延滞金の支払いや罰則に繋がる可能性がありますので、ルールを遵守するよう心掛けてください。
以上が、法人税を計算する際の注意点です。
経理業務に関わる方々は、これらのポイントを押さえながら法人税の計算を進めることで、正確な納税や財務管理を行うことができます。
専門的な知識や経験が求められる法人税の計算は、信頼性のある専門家やサービスの活用を検討することも一つの方法です。
健全な経営を目指すために、経理アウトソーシングを活用するメリットや導入の手順についても、さらに詳しく調べてみることをおすすめします。
法人税を適切に納付することは、企業の健全な経営に欠かせません。続いては、法人税を納付するための方法について解説します。
法人税の納付方法のひとつは現金での納付です。
納税期限までに指定の金融機関に設置された窓口に訪れ、税務署が発行する納税書を提出し、現金で納付します。
この場合、あらかじめ必要な額を用意しておかなければなりません。現金での納付は手続きが煩雑であり、大金を持ち歩く必要があるため、注意が必要です。
また、コンビニでも支払いできるため24時間受付してくれるところがメリットですが、30万円以下の納付に限られます。
現代のデジタル社会では、オンラインでの納付が一般的になってきました。
法人税の納付においても、e-taxなどのインターネットを利用したオンライン納付が可能です。税務署のウェブサイトや指定のサービスを利用して支払いを行います。
オンライン納付は手続きが簡便で迅速なため、多くの企業が利用しています。現金での納付のように、わざわざ納税場所まで行く必要がなく、素早く納税できるのはメリットです
一方で、受付時間が定められているため、納付時期や時間を確認し、納付漏れがないように気をつけましょう。
クレジットカードを利用して法人税を納付する方法もあります。
一部の税務署では、納税書を持参しクレジットカードで支払うことができます。クレジットカードを利用することで、現金を用意する手間やオンライン手続きをする手間を省くことができます。
ただし、クレジットカードでの納付には手数料がかかる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。また、領収書が発行されない点にも注意が必要です。
法人税の節税方法を知っておくことも重要です。
節税を実現することで、企業の収益を最大限に活用し、経営の持続的な発展につなげることができるからです。
最後に法人税の節税方法について説明します。
法人税の節税において重要なポイントは、損金を増やすことです。
企業は経費や損失を計上することで、税務上の損金を増やすことができます。
具体的には、経費の明細を正確に管理し、必要な経費を計上することが重要です。また、税務制度の特典や優遇措置を活用することで、損金を増やすことができる場合もあります。
法人税を節税するためには、益金を減らすことも有効です。
企業は利益を最大化することを目指しますが、法人税の観点では利益を減らすことで税額を軽減できます。
具体的には、費用対効果の高い投資や事業拡大を慎重に判断し、必要以上の利益を出さないようにすることがポイントです。ただし、経営の健全性や将来の発展を考慮しながら節税策を検討することが重要です。
法人税の節税には、税法で定められた特別控除を活用する方法もあります。
特別控除は、特定の条件や目的を満たす企業に対して適用される税制上の優遇措置です。例えば、地域振興や研究開発など特定の活動に取り組む企業には、それに応じた特別控除が適用される場合があります。
税務署や専門家のアドバイスを受けながら、特別控除を活用することで節税効果を得ることができます。
節税効果を最大化するためにも専門家の助言を受けることをおすすめします。
専門家は法人税の知識や最新の税制改正情報に詳しく、最適な節税策を提案してくれるでしょう。税務申告や経理業務の効率化を図りながら節税対策を進めることができます。
法人税について基礎から理解できるように解説しました。
法人税と所得税の違いや、課税される法人の形態、納税方法や節税方法など、基本的な知識を網羅しています。この記事を参考にしながら法人税に関する理解を深め、経営に活かしてみてください。
健全な企業経営のためにも、基礎を理解し、正しく納税するようにしましょう。しかし、一方でルールの改変や、計算が難しい点などがあることも事実です。
「間違いがないか不安」「他の業務に集中したい」「専門的な知識やアドバイスが必要」ということであれば、その道のプロへ相談することもおすすめです。
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