総勘定元帳とは、企業におけるすべての取引を、勘定科目ごとに記載する帳簿です。
総勘定元帳と仕訳帳は、複式簿記の主要簿(主要な帳簿)にあたり、お金の流れを正確に把握するために欠かせない帳簿です。
今回は、総勘定元帳について、基本的な内容や仕訳帳との違い、活用するメリット、作成方法などを解説します。
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総勘定元帳とは、会計帳簿の一種で、企業のすべての取引を勘定科目ごとにまとめて記録する帳簿です。
決算の際には、総勘定元帳をもとに財務諸表(決算書)を作成するため、総勘定元帳は正確に記載することが重要です。
総勘定元帳は、仕訳帳(日付順に記載された帳簿)に記された内容を、勘定科目ごとにまとめて記載していきます。そのため、仕訳帳がなければ作成できません。
総勘定元帳と仕訳帳は、複式簿記における主要な会計帳簿です。
総勘定元帳は、税務申告や監査の際にも使用されます。
税務調査の際には、企業の財務状況を把握するために、総勘定元帳の提示を求められることがあります。そのため総勘定元帳には、定期的かつ正確にお金の流れを記録しておくことが大切です。
関連記事:勘定科目とは?科目一覧を詳しく解説
総勘定元帳と仕訳帳は、どちらも日々の取引内容を記録していく帳簿です。
総勘定元帳は、企業の取引内容を、勘定科目ごとにまとめて記載していきます。
取引の日付、内容、金額などが記載され、取引をまとめて記載することにより、企業の財務状況を読み取ることができる帳簿です。
総勘定元帳は、特定の勘定科目における金銭の動きを把握する場合に役立ちます。
一方、仕訳帳は、企業が行った取引を、日付順に記載していく帳簿です。
日々の取引を発生順に記載していくため、時系列で金銭の動きを把握する場合に役立ちます。
作成した帳簿は、その年の確定申告(税務申告)が終了したのち、一定期間保管しておかなければなりません。
帳簿には、総勘定元帳、仕訳帳といった主要簿のほか、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
帳簿の保存期間は一般的に、税法では7年間(一部5年間)、会社法では10年間と決められているため、基本的には一番長く定められている会社法の規定を優先します。
総勘定元帳の保存期間も、同様です。
ただし、法律上では保存期間が定められていますが、事業を続けていくにあたって重要な帳簿書類は、永久的に保存しておくことをおすすめします。
重要な帳簿書類としては、決算書、申告書、総勘定元帳、定款、当期関連書類、免許許可関連書類、不動産関連書類、その他の重要な契約書・申請書・届出書などが挙げられます。
総勘定元帳には、「標準式」と「残高式」の2種類の形式があり、この2つは記帳方法が違うだけで、同じ結果が導き出されます。
【標準式】
日付欄 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 日付欄 | 摘要 | 仕丁 | 貸方 |
【残高式】
日付欄 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借/貸 | 残高 |
「標準式」は、借方と貸方が、中心で左側と右側にわかれています。
「残高式」は、いつでも残高を確認することができるため、実務では「残高式」が主流です。
<各項目の概要>
日付:取引が行われた日付を記入
摘要:仕訳の相手勘定科目を記入(取引内容や事由などを簡潔に記入)
仕丁:その取引が記載されている仕訳帳のページ番号を記入
借方:その取引で発生した借方の金額を記入(資産が増加した場合は借方に記入)
貸方:その取引で発生した貸方の金額を記入(負債などが増加した場合は貸方に記入)
借または貸:残高が借方残のときは「借」、貸方残のときは「貸」と記入
残高:残高を記入
会計帳簿には、「主要簿」と「補助簿」の2つの種類があり、総勘定元帳と仕訳帳は「主要簿」に該当します。
「主要簿」は、日々発生する取引をすべて記録する会計帳簿で、複式簿記では必ず作成する帳簿です。
総勘定元帳と仕訳帳を補完する「補助簿」について解説します。
会計帳簿には、発生した取引のすべてを記録する「主要簿」と、主要簿を補完する役割がある「補助簿」があります。
総勘定元帳と仕訳帳は「主要簿」に該当します。
【会計帳簿の主要簿と補助簿の仕訳】
会計帳簿 | 主要簿(全ての取引を記録する帳簿) | 総勘定元帳 |
仕訳帳 | ||
補助簿(主要簿を補完するための帳簿) | 現金出納帳 | |
預金出納帳 | ||
固定資産台帳 | ||
売掛金元帳 | ||
買掛金元帳 | ||
経費帳 |
補助簿の作成は、特に法律で義務付けられていません。しかし、補助簿によって、主要簿では確認しきれない詳しい取引内容を正確に把握することができます。
補助簿にはさまざまな種類がありますが、どれを作成するかは企業が独自に判断します。
現金出納帳は、日々の現金の出入りを記録する帳簿です。支払いや入金など、毎日の現金の流れと残高を把握できます。
預金出納帳は、金融機関の口座ごとに、各種預金口座の入出金について記録する帳簿です。
預金口座を複数の金融機関で利用している場合、口座と同じ数の預金出納帳が必要になります。
固定資産台帳は、不動産や建物、自動車、パソコンなど、固定資産の内容についてまとめた帳簿です。一般的に取得価額が10万円以上の資産について記録します。
様式は特に決まっていませんが、保有している固定資産ごとに、資産内容、購入日、使用開始日、耐用年数などを記録します。
保有する固定資産がどれくらいなのか、減価償却費を控除した現在の価値を把握するために必要な帳簿です。
売掛金元帳(得意先元帳)は、得意先ごと(顧客ごと)に、取引内容や売上高、売掛金の残高などをまとめた帳簿です。
売掛金は、回収できなければ資金繰りに影響がでてしまうため、しっかりと管理する必要があります。
買掛金元帳(仕入先元帳)は、仕入先ごとに、取引内容や仕入高、買掛金の残高をまとめた帳簿です。
買掛金は、約束通りに支払わなければ信用問題にも関わるため、顧客ごとに帳簿を作成し、きちんと管理することが重要です。
経費帳とは、事業に必要な経費のうち、仕入以外の経費を費目ごとに記録する帳簿です。
取引の日付や内容、金額を記入すればよいシンプルな帳簿で、作成の負担も軽い帳簿です。
「仕入以外の経費」とは、水道光熱費や地代家賃、給与賃金などの経費を指し、交通費や文房具などの消耗品費なども含まれます。
総勘定元帳は、決算書の作成で必要になり、法律で作成が義務づけられているものです。
しかし、総勘定元帳を作成することで、企業にもさまざまなメリットがあります。
総勘定元帳を活用するメリットは、主に次の2つが挙げられます。
総勘定元帳を作成することで、勘定科目ごとの残高や合計額が常に確認できます。そのため、現金や預金、借入金などの残高をすぐに確認でき、現状の経営成績や財務状態を的確に把握することが可能です。
さらに試算表(決算書の前段階の書類)を作成する際、各勘定元帳の残高が一致しなかった場合に、総勘定元帳を確認すれば、ミスの原因を探すことができます。
また各勘定項目の残高を常に把握できるため、誤った処理をしてしまった場合に早めに気付くことができ、会計処理の制度を高めることにもつながります。
一般的に、総勘定元帳は仕訳帳の情報を反映(転記)させて作成します。
仕訳帳をもとに総勘定元帳を作成する手順を解説します。
【仕訳帳をもとに総勘定元帳の作成する手順】
まず、日々の取引の記録に誤りがないよう、仕訳帳を正しく記録していきます。
総勘定元帳を正しく作成していくために、仕訳帳の情報に誤りがないかを確認しましょう。
仕訳帳の内容を、総勘定元帳に次のような手順で転記していきます。
@ 日付欄 |
A 摘要 |
B 仕丁 |
C 借方 |
C 貸方 |
D 借/貸 |
E 残高 |
手順のAで「摘要」に相手科目を記入する際、取引の内容によっては、勘定科目が複数になる場合があります。
複数の勘定科目を総勘定元帳に転記する場合には、「諸口」という勘定科目を使用し、内容を1行に記入します。
「諸口」の詳細を確認したい場合は、仕訳帳を見ることで調べられます。
所得税の確定申告を行う方法は、青色申告と白色申告の2種類があり、この2つは帳簿の記帳方式が異なります。
青色申告は、税制上のさまざまな特典を受けることができる「青色申告特別控除」があります。これは、所得金額から最大65万円(もしくは55万円)の控除が受けられる制度です。
「青色申告特別控除」を受ける場合、原則として複式簿記による記帳をし、確定申告時に貸借対照表と損益計算書を添付する必要があります。 複式簿記による記帳は、所得税や税額を正確に計算するためにも不可欠です。
複式簿記とは、1つの取引に対して「借方」「貸方」という2つの側面から記録する方法で、これを仕訳といいます。
複式簿記で仕訳をすると、必ず貸借が一致するため、会計処理のミスを発見しやすくなり、事業の経営状況を正しく把握することができます。
複式簿記における主要簿(主要な会計帳簿)が、「総勘定元帳」と「仕訳帳」です。
つまり、確定申告書に添付する貸借対照表と損益計算書を作成するために、主要簿(総勘定元帳と仕訳帳)を記帳しておくことが必要となります
確定申告では、帳簿や領収書などは提出する必要はありません。ただし、税務調査などに対応できるよう定められた期間(帳簿や決算関係書類などは7年間)は保存しておく必要があります。
総勘定元帳について、ご紹介しました。
確定申告で青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必要となり、総勘定元帳に定期的かつ正確にお金の流れを記載しておくことが大切です。
適切な会計処理を行うためには、会計の専門知識や経験も必要となります。
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