近年、経理業務を効率化させるために注目されているのが、経理DXです。ですが「DXがよくわからない」「どのように取り入れていけば良いのか悩んでいる」といった方もいるのではないでしょうか。
そこで、経理DXについておさえておきたいポイントや、導入するメリット、注意点などについて解説します。
この記事を読むことによって経理DXとは何か、どういった形で経理の業務改善に役立つのかなどがわかるようになるので、参考にしてください。
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経理DXとは、経理の分野でDXを導入し、自動化・効率化を図ることを意味しています。
DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略語です。「Transformation」は「変容」を意味しています。
IT技術が進歩したことにより、経理業務の中には自動化できるポイントが増えてきました。経理業務の中でデジタル技術を用いることにより、従来の業務方法を変革していく取り組みのことを経理DXと呼びます。
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経理DXが推進されるようになった大きなきっかけは、電子帳簿保存法の改正です。
2022年に改正された電子帳簿保存法によって、帳簿や書類のデータ化や、電子取引の書面を電子データで保存することが義務づけられました。
従来必要だった帳簿や書類を電子保存する際の税務署長の事前承認が不要となり、条件を満たしていれば電子データのままで保存できるようになったのも大きな特徴です。こういった影響から日々の業務の中でデジタル技術を取り入れる必要性が高まり、経理DXに取り組む企業が増えています。
DXが重要視されている理由として、業務の利便性が高まることによる生産性の向上効果などが挙げられます。従来の紙ベースの業務からデジタルツールを活用した業務に切り替えていくことにより、効率的な業務につなげることが可能です。
さらに、法改正によって電子的に帳簿書類など保存する際の手続きが簡素化されました。DXを導入する際は切り替えが大変なこともありますが、定着してしまえば大幅に日々の業務効率が良くなることが期待されています。
経理のDXはどのように進めていけば良いのでしょうか。全体的な流れとしては、経理関係書類のペーパーレス化、印鑑の電子化、システムの連携です。
それぞれについて解説します。
経営DXで重要になってくるのが、資料のペーパーレス化です。DXに役立つツールなどを取り入れ、書面にする必要がない作業についてはペーパーレス化するところから始めます。
紙ベースの伝票管理や、経費精算時の紙による申請をデジタル化する作業は、比較的取り組みやすいです。
それから、取引先と行う請求書のやりとりを電子化するなどの取り組みも、ペーパーレス化につながります。取引先と調整を行いながら徐々に取り組んでいきましょう。
印鑑の電子化もDX化のひとつです。コロナ禍でリモートワークが増える中、押印作業のためだけに出社が求められるケースもあり、印鑑を電子化すべきとの声が多く上がりました。
実際に、経理は押印作業に追われてしまうことも多いです。電子印鑑によって押印作業が効率化できるほか、デジタルデータ化した書類を印刷してから押印するといった手間がなくなります。
各種システムと連携することにより、作業効率が良くなります。
例えば、請求書関連の作業に時間が取られてしまうことがありますが、販売管理システムと連携すれば、承認ボタンを押すだけで金額の請求・請求書の発行が可能です。
さらには、業務ごとで使い分けているシステムを連携させることによってデータの一元管理なども可能となり、作業効率や、確認に関する効率を向上させることにもつながります。
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経理業務をDX化することにより、経理部門だけではなく、企業として実感できるメリットがたくさんあります。業務効率の向上やペーパーレス化、コスト削減、属人化の解消などです。
それぞれ解説します。
経理DXによって期待できる大きなメリットとして挙げられるのが、業務効率の向上です。
DXの推進ではデジタル技術を活用することになりますが、経理が行う業務の中には、デジタルで行う定型業務に適しているものが多々あります。
そのため、DX化に取り組むことにより、大幅な業務効率向上が期待できます。手入力で個別に対応している業務が少なくなれば、その分入力ミスなどを減らすことにもつながりやすいです。
業務の中でデジタル化できる部分を積極的にDX化することにより、ペーパーレス化に繋がります。ペーパーレス化できれば、それまで行っていた印刷業務がカットできるほか、アナログでの膨大な書類の管理からも解放されます。
重要書類の中には、紙での保管が義務づけられていたものがありました。ですが、法改正によって電子保存が認められる範囲が増え、ペーパーレス化に取り組む企業が増えています。
DX化によって、さまざまな形でコスト削減が期待できます。
ペーパーレス化が実現できれば、用紙代が削減できるほか、印刷作業や各種書類の管理を行うための人件費なども削減可能です。
ペーパーレス化以外の経理業務についても、デジタルで自動化できる部分が増えれば人が行うプロセスが大幅に減ります。経理からすると業務時間の削減に繋がり、企業としても人件費削減に繋がるのがメリットです。
経理DXによって、属人化を解消する効果も期待できます。経営が担当する業務の中には、これまで経験豊富な経理担当者が独自に判断して入力していたものもあるのではないでしょうか。
このような状況だと担当者が不在の際に対応できなくなるリスクが大きいです。しかし、デジタルによるサポート機能を活用すれば、これまで属人化されていた業務を振り分けていくことができます。
さらに、AIなどに学習させて自動登録ができるようにすれば、属人化の解消と業務効率改善の両方が可能です。
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経理DXが遅れた場合、さまざまな影響が考えられます。
代表的な影響として挙げられるのが、属人化の解消が進まない、売上損失の可能性がある、従業員のモチベーション低下などです。それぞれについて解説します。
経理DXが遅れた場合、属人化の解消がなかなか進みません。
注意したいこととして、経理は属人化しやすい部門ともいえます。
例えば、システムに関する知識のある担当者のみが特定の業務を進めている企業もあるでしょう。販売や受注に関するシステムや給与システムを常に同じ人が担当していると、担当者不在の際に他に業務ができる人がいなくなってしまいます。属人化解消のためにも経理DXに取り組みましょう。
経理DXに取り組むことなくいた場合、売上損失の可能性があります。作業効率が悪いまま業務を継続すると、効率化できていた場合と比較して販売のチャンスを逃しやすくなってしまいます。
さらに「2025年の崖」と呼ばれるものにも直面する可能性が高いです。これは、DX化が進まなかった場合に2025年までに起こってしまう可能性がある経済損失のことをいいます。
主な原因は有識者の退職や既存ITシステムのレガシー化などによる売上損失です。
さらに、有識者が退職するとDX化に必要なノウハウが失われてしまい、それ以降のDX化が難しくなってしまう可能性もあります。
経理DX化の遅れは、モチベーション低下につながってしまうことがあります。
近年は多様な働き方がありますが、その中にはDX化ができていないと対応できないものも多いです。
例えば、テレワークで済むような業務でもDX化の遅れが原因で出社しなければならないことがあります。作業効率なども悪くなり、従業員のモチベーションが低下してしまう可能性も高いです。
経理はさまざまな業務を行っていますが、特にDXをすすめたい業務の範囲として、まず経費精算業務が挙げられます。経費精算業務を電子化することにより、立て替え金や交通費といった経費精算にかかる業務負担を減らすことが可能です。
それから、受注データや仕入れ・出荷データといったものの入力、売り上げの集計、請求書関連の業務なども電子化・自動化しやすいといえます。
決算業務についても、DXによる業務自動化により、効率化が可能です。
決算業務では、各システムやデータ連携にさまざまな人が関わることになります。その中で一つでも何かエラーが発生すると、全体の作業が止まってしまうケースも多いです。DXをすすめてデータ連携と計算業務の自動化が行われれば、こういったトラブルや、経理の負担は大きく減ります。
それから、給与支払い業務や管理会計業務なども、経理DXをすすめることにより大きな業務効率改善が期待できるポイントです。
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経理DXを導入する際には、注意すべきポイントもあります。
はじめに自社の経理的課題点を洗い出し、関連部署や社内に共有するようにしましょう。おさえておくべきポイントを解説します。
まずは、自社の経理に関する課題を洗い出してみてください。一口にDXといってもさまざまな種類がありますが、どういったDX化に取り組んでいくのかは自社の経理的課題点にあわせて取り組んでいくのがおすすめです。
各従業員がどのような業務を担当しているのか明確にし、業務を見える化することにより、DX化すべきポイントが見えてきます。
経理DXを導入したら、関連部署や社内に共有することが重要です。
共有を行わずにいると、DX化によって一時的に属人化が解消されたとしても、再び属人化してしまう恐れがあります。属人化している業務が多い場合、その原因を突き止め、改善のための対策を取ることも重要です。
経理で取り組んでいくべきDX化について紹介しました。経理DXとは何か、自社で取り入れる際にはどのように進めていけば良いのかなどがご理解いただけたかと思います。
DXは経理だけではなく、社内全体の業務効率を高めたいと考えた際にも欠かせません。
DX化するといっても一度にすべてを行えるものではないので、少しずつ取り組んでいくことが重要と言えます。
社内で経理DXに取り組むことも大切ではありますが、経理部門の人手が足りない、他にもさまざまな悩みを抱えているといった場合は、アウトソーシングについて検討してみることもおすすめします。
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