経理業務は事業を行なううえで欠かすことができないものの一つです。
経理は、売上や仕入れ、経費の計上など、お金の流れを正確に把握して管理するのが主な仕事であり、日々の記帳から年に1度の決算書の作成までと幅広い業務が存在します。
経理によって管理・数値化されたお金の流れを元に、経営判断を行なうことになるため、会社を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。
この記事では、経理の業務内容や扱う書類などについて深堀りをしていきます。
経理と似た会計や財務との違いについても解説していますので、経理業務に興味がある人にとって役立つ内容でしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
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経理とは、事業で発生したお金の流れを数値化する仕事です。
売上や仕入れ、給与計算、資産売却など、さまざまな会計をルールに則って処理。
併せて会計システムへの入力や伝票の整理・管理なども行います。
事業を行なううえで大切なことは「利益」や「資産」を生み出すこと。
利益や資産を生み出すには、お金の流れをしっかり把握し管理することが大前提となります。
それを実現するために必要となるのが経理なのです。
お金を扱う仕事として、会計や財務を思い浮かべる人も多いでしょう。
経理とは会計業務の一部を指すもので、財務は経理が用意した資料を元に資産調達や資産運用を行ないます。
一方経理は、日々の売上や仕入れなどの記帳や給与計算、決算書作成などをメインに行う仕事です。
会社によっては経理担当者のほかに、会計担当者や財務担当者を配置しているケース、中小企業などでは1人がすべてを担っているケースもあります。
いずれにせよ、経理と会計、財務の連携が会社経営には欠かせないのです。
この3つの使い分けを覚えておけば、お金にまつわる役割の違いが理解しやすくなります。
ここでは会計と財務の概要について解説しましょう。
関連記事>>会計業務とは?経理や財務の仕事内容と効率化のポイント
会計は経理と同じく、「お金や品物のやりとりや出入りを記録する」のが主な仕事です。
会社の会計であれば、売上や経費などの支出を管理する必要があるため、規模の大きい会社であるほど会計業務が増えることになるでしょう。
法人における会計は「管理会計」と「財務会計」の2種類にわけられます。
管理会計とは、会社の経営状態を把握するためのもので、経営方針を決定することを目的としたものです。
社長や役員などの社内向けの内容であり、特定のフォーマットは存在しないことが多いため、作成時には必要な情報を取捨選択する能力が求められるでしょう。
財務会計とは、会社の活動成果を財務諸表などにまとめ開示することを目的としたものです。 株主や融資を受けている銀行などの利害関係者向けの内容であるため、特定のフォーマットに従って書類を作成する必要があります。
関連記事>>会計処理の概要と知っておきたい経理処理との違い
財務とは「これから使うお金」を管理する仕事です。
経理が「これまでに使ったお金」を管理することを目的とするため、まったく逆の仕事といえるでしょう。
財務の主な仕事は資金調達や資金運用です。
銀行と融資交渉をする場合や投資およびM&Aなど資産運用を行なう際、経理が作成した損益計算書や貸借対照表、決算書、事業計画などを元に財務が実際の活動を行います。
経理や会計が現状を把握するための業務であれば、財務は現状を理解したうえで、具体的な行動に移す業務と言えるでしょう。
関連記事>>資金調達代行とは?メリットとデメリット
関連記事>>経理と財務の違いと業務内容、必要なスキル・資格について解説
経理業務は、日々の仕訳から伝票の起票、振込手続き、各種伝票や書類の作成など多岐におよびます。
多くの会社では、会計ソフトや専用の会計システムを使用し、日々発生する入出金を複式簿記により数値化していくことで決算書を作成します。
扱う金額は数百円程度から数億円以上と事業規模によってさまざまですが、間違いの許されない業務です。
日々の仕訳や記帳において誤りがあれば、決算書の数字が合わなくなり、納税額が相違するという大きな問題につながります。
財務諸票や決算報告などの数値に誤りがあれば、会社の信用を損ないかねません。
つまり、経理業務は地道かつ正確な仕事が求められます。
経理業務は営業活動のように目に見える形で評価がされにくいことからも、経理担当者によってはモチベーションを維持するのが難しい現状があります。
また、従業員の少ないベンチャー企業などで営業活動と経理業務を兼任している場合は、経理業務に追われ、本業がおろそかになりがちです。
経理業務には、正確さはもちろん、簿記や税金、社会保険といった幅広い知識と専門性が求められることから、自社内で経理業務を完結するのが難しいようであれば経理のアウトソーシングを利用しましょう。
経理を外部に依頼することで、本業に集中できるでしょう。
以下は、経理の主な業務内容です。
頻度 | 仕事 | 内容 |
毎日 | 預金・現金管理 | 現金や預金の入出金・残高照合 |
帳票の作成 | 伝票作成などによる帳票への記録 (会計ソフトなどを利用することも多い) | |
経費精算 | 社員の経費精算 | |
仮払金の管理 | 社員への仮払金入金や精算 | |
月次 | 買掛金や売掛金の管理 | 期日までに買掛金の支払いや売掛金の入金が行われたかどうかの確認 |
領収書や請求書の発行 | 取引先などへの領収書や請求書の発行 | |
在庫管理 | 棚卸資産がある場合の実地棚卸など | |
給与計算 | 社員の勤怠承認と給与計算 | |
源泉徴収税や社会保険料の納付 | 社員から預かった源泉徴収税や個人住民税、社会保険料などの支払い | |
年次 | 賞与計算 | 社員に支給する賞与の計算 |
年末調整 | 社員の所得税を確定する手続き (扶養控除申請書などを提出してもらい、所得税を確定。法定調書を作成する。) | |
償却資産の実査 | 償却資産の申告のための実査 | |
決算書類の作成・確定申告 | 財務諸表や決算書類の作成 税務申告にかかわる書類の作成 (中間申告やしはんきごとの財務諸表の作成が必要な企業もあります) | |
各種税金の納付 | 法人税や法人事業税、法人地方税、消費税など支払いが必要な税金の納付 |
ここからは、経理業務を可視化すべく、一般的な会社における経理担当者の1日の仕事の流れを「閑散期」と「繁忙期(決算期)」の2パターンに分けて紹介します。
決算期から遠い時期や処理事項の少ない月中が閑散期であるケースが多いです。
閑散期の1日の流れは次のとおり。
出社
午前の仕事1:小口現金の準備
午前の仕事2:従業員の経理精算や仮払金の処理
お昼休憩
午後の仕事1:入出金の確認
午後の仕事2:データ入力、伝票の作成
午後の仕事3:現金残高の照合
午後の仕事4:伝票などのファイリング
退社
当日使用する現金の用意からはじまり、日々の記帳を行います。
書類整理やファイリングなどの優先順位の低い業務は閑散期に行なうと効率的です。
決算期や年度末、月末など処理事項の多い時期が繁忙期のケースが多いです。 ここでは決算期を例に記載します。
繁忙期の1日の流れは次のとおり。
出社
午前の仕事1:小口現金の準備
午前の仕事2:従業員の経理精算や仮払金の処理
お昼休憩
午後の仕事1:決算書類の作成
午後の仕事2:データ入力、伝票の作成
午後の仕事3:現金残高の照合
日々のルーティン業務をこなしつつ、決算書類の作成業務が加わります。
事業規模や関連する部署が多いほど業務量は膨れ上がる傾向にあり、業務担当者の人数にもよりますが、繁忙期の多くは所定の労働時間を超えて仕事を行なうことが多いでしょう。
ここからは、経理業務の年間カレンダーと題して、作成・提出すべき資料の一覧を見ていきましょう。
1月 | ・源泉所得税の下半期の集計表(納期の特例となっている会社) ・法定調書合計表 ・償却資産申告書 ・給与支払報告書 ・納付イベント:源泉所得税の下半期の納付(納期の特例となっている会社) |
2月 | ・法人税の決算申告書 ・地方税の決算申告書 ・消費税の決算申告書 ・納付イベント:決算で計算された各種税金の納付 ・納付イベント:固定資産税の納付(4/4期目) 決算申告業務は決算月から2ヶ月以内に完了させる必要があり、経理部にとっては一番重要な仕事であり多忙な月になります。 |
3月 | 大きなイベントなし |
4月 | ・納付イベント:固定資産税の納付(1/4期目) |
5月 | ・納付イベント:自動車税の納付 |
6月 | 大きなイベントなし |
7月 | ・源泉所得税の上半期の集計表(納期の特例となっている会社) ・労働保険申告書 ・社会保険の算定基礎届 ・納付イベント:源泉所得税の上半期の納付(納期の特例となっている会社) ・納付イベント:労働保険料の納付 ・納付イベント:固定資産税の納付(2/4期目) |
8月 | ・法人税の中間申告書 ・地方税の中間申告書 ・消費税の中間申告書 ・納付イベント:中間申告で計算された各種税金の納付 |
9月 | 大きなイベントなし |
10月 | 大きなイベントなし |
11月 | ・「年末調整」の準備段階として「扶養控除申告」と「保険料控除申告書」を各従業員へ配布します |
12月 | ・年末調整の集計表 ・納付イベント:固定資産税の納付(3期目/全4期) 年末調整業務は原則全ての従業員に対して行う必要があり、多忙な月になります。 |
「経理」と一まとめに言っても、実際は企業の規模によって業務内容が大きく異なります。
ここでは、大企業と中小企業における経理業務の違いについてご紹介します。
大企業の場合は経理業務が多いため、通常は一つの部門として独立した部署があります。
経理部門の中でも、総務や人事、労務などと分業した上で専門スタッフを配置し、それぞれが自分の担当業務のみを行うという形です。
基本的に担当外の業務をすることはありませんが、その分より専門的な知識や経験が求められます。
また大企業には、決算時に財務諸表の作成が義務付けられていますが、子会社がある場合はそれらの経営状況を紐づけた連結財務表の作成も必要です。
関連記事>>連結決算とは・作成の手順や注意点
経理が分業化されている点は同じですが、子会社がある企業に比べると業務量は少なくなります。
ただし、子会社の有無にかかわらず、大企業の場合は決算ごとに作成・開示する書類が非常に多いため、担当者には計画的かつ迅速に作業する能力が求められます。
とくにお金を扱う経理部門では、一つのミスが企業の致命傷になりかねません。
中小企業とは違い、部署間とのコミュニケーションや調整が必要になるのもポイントです。
経営規模がそれほど大きくない中小企業の場合、少人数で幅広い業務をこなしているケースがほとんどです。
従業員が30人以下の会社であれば、一人のスタッフが会社全体の経理を任されていることも珍しくありません。
企業の規模が小さい分複雑な業務は少なく、中には未経験者を採用する会社もあります。
しかし、慢性的に人員不足な企業も多く、その場合は経理業務だけでなく雑務やクレーム対応まで求められることがあります。
同じ「経理」であっても、取引の内容や仕方が違うと会計処理の方法も違ってきます。
つまり、業種によって業務内容が大きく異なるのです。
具体的にはどのように異なるのか、以下の表で確認してみましょう。
業種 | 具体的な業務内容 |
小売業 | 仕入れた商品を顧客に販売する小売業では、売掛金と買掛金の管理が最も重要な業務です。 「安く仕入れて利益を出す」と言うとイメージしやすいでしょう。 ポイントや商品券などの利用があると、処理が煩雑になりがちです。 |
製造業 | 複数の製品を作っている業者では、製品ごとの製造コストを考慮した上での経営、つまり「工業簿記」や「原価計算」が必須です。 原価と予算に差が出た場合、今後の経営に向けた要因の分析が求められます。 |
金融業 | 実体のない金融商品を扱うため、経理に関してはとくに厳しい業種です。 国税庁や税務署の対応にあたる機会もあり、幅広い専門知識や処理能力が求められます。 |
不動産業 | 不動産業では、「売買」「仲介」「賃貸」でそれぞれ処理の仕方が異なるのが特徴です。 エリア開発などに関与している場合は会計処理が複雑になりますが、中小規模であれば一般の経理業務と大差ありません。 |
建設業 | 建設業は製造業と同様にものを作る仕事のため「原価計算」が欠かせません。 また、年度をまたいで会計処理をすることも多く、進捗状況を見ながら工事収益の一部を決算書に計上するなど、独自の項目があります。 |
運送業 | 基本的な経理業務は変わりませんが、配送後ではなくトラックに荷物を積み込んだ時点で収益計上をする「積込基準」が適用されるのが特徴的です。 それに加えて車両や事故に関する経費処理もあります。 |
保険業 | 通常は実際に動いたお金の処理をするのが経理ですが、保険業の場合は加入者への支払いに困らないために「責任準備金」を計上します。 契約が数十年にわたることも多く、会計処理が複雑になりがちです。 |
会社では経理部を設け、経理担当者を配置しいていることが多いです。
会社の経理担当者は事業規模や業務内容によって人数は異なり、中小企業などでは1人で担当していることも珍しくありません。
給与計算などの労務関係は総務部や人事部が対応し、振込のみ経理部が対応しているケースなど、会社によって役割分担はさまざまです。
基本的に経理業務は「日次業務」「月次業務」「年次業務」3つにわけることができます。
それぞれの業務内容について見ていきましょう。
日次業務とは、日々の取引を数値化して記録する業務です。
主な日次業務の内容は次のとおり。
月次業務とは、1ヶ月単位で発生する業務です。
主な月次業務の内容は次のとおり。
関連記事>>給与計算とは?業務の基礎知識や計算方法・注意点を紹介
年次業務とは、1年単位で発生する業務で、法令で定められた期日や決算月に合わせて行われます。
主な年次業務の内容は次のとおり。
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経理では会計に関する書類を多く取り扱いますが、特に処理頻度の高い「伝票」と「帳簿」について詳しく解説します。
伝票とは、金銭や物品の取引内容を記録・管理するもので、所定のフォーマットに則って作成します。
伝票には「いつ(日付)」「だれと(取引相手)」「いくら(金額)」「何を(但し書きや品名)」を明確に記載することが必要です。
また、伝票と一口にいっても、その種類はさまざまです。
ここでは以下の5つに項目を分けて、一つひとつ見ていきます。
それぞれ解説していきます。
入金伝票とは、入金を記録する伝票で、現金の取引で使用します。
通常、店舗などの小規模事業では、入金された金額を手書きで記録していることが一般的ですが、大手企業や百貨店などでは入金伝票を用いて、簿記管理を行っています。
入金伝票には、顧客名や支払い方法、入金日や金額といった情報が記載されており、管理者が入金記録を簡単に確認できます。
また、入金伝票を用いることで、未収金額の管理や支払い漏れの防止、経理処理の効率化が図れます。
出金伝票とは、出金を記録する伝票で、入金伝票と同じく現金の取引で使用します。
出金の理由や金額、支払先などが詳細に記入され、交通費や経費精算、購入品の支払いなどさまざまな場面で利用されます。
出金伝票はマニュアルに従って手書き入力される場合が多いですが、近年では会計ソフトを使った電子出金伝票も多く利用されています。
出金伝票の記録を正確に行うことで現金管理が正しく行われ、会計処理の正確性が担保されます。
振替伝票とは、企業などが銀行口座間で資金の振替を行うために使用される伝票で、現金以外の取引で使用します。
振替伝票には、現金出納帳や財務諸表のための取引内容が記載されます。
具体的には、振出金口座と振入金口座の金融機関名や口座番号、振替金額などが含まれます。
振替伝票は、主に個人や企業の間での金融取引に使われ、自動送金システムにより自動化されることが多くあります。
また、顧客に代わって発行することもあります。
振替伝票を正確かつ迅速に処理することで、効率的な資金管理が可能になります。
売掛金と買掛金で仕入処理を行う場合は、仕入伝票を使用します。
品名や数量、単価、金額など細かく記録され、のちの会計処理に必要な情報が含まれています。
また、支払予定日や締め日など重要な取引条件も明記されるため、会計担当者が支払いスケジュールを作成するうえでも重要な役割を果たします。
仕入伝票には、手書きやコンピュータで作成されるほか、EDIなどの電子データ交換によって自動的に作成される場合もあります。
売掛金と買掛金で売上処理を行う場合は、売上伝票を使用します。
売上伝票には取引先や商品名、数量、単価、金額などが詳細に記録され、のちの会計処理向けの基本的な情報源となります。
また、売上伝票は製品の出荷や仕入れ、在庫などの管理にも役立ちます。
売上伝票は売上計算書の作成時に使用され、財務諸表の作成に必要です。
売上伝票には手書きやシステム入力などさまざまな方法で作成されますが、正確で詳細な情報が保持されることが大切です。
帳簿とは「仕訳帳」と「総勘定元帳」の総称であり、会計処理を目的として記録・管理する書類として会社が行った取引をもれなく記載することが必要です。
決算書作成の元となるもので、作成した帳簿は7年間保存が義務付けられています。
仕訳帳は、会社が行ったすべての取引を発生した日付順に記載、総勘定元帳は仕訳帳に記載されている取引を勘定科目ごとにまとめたものです。
関連記事>>経理書類の保存方法・保管期間は?具体的な書類例と保存のコツ
主要簿とは、会計上の重要な金融情報を記録するための帳簿のことです。
主要簿には、勘定元帳、仕訳帳、決算整理仕訳帳、貸借対照表、損益計算書などが含まれます。
勘定元帳は、企業の各勘定科目の残高を管理するための帳簿であり、仕訳帳は日々の取引を記録するための帳簿です。
決算整理仕訳帳は、会計年度末に行われる決算に備えて、仕訳帳から勘定元帳に必要な書き込みをするための帳簿です。
貸借対照表は、企業の状況を数値化してまとめたものであり、損益計算書は企業の収益や費用を算出するための帳簿です。
これらの帳簿は、企業活動を追跡し、経営者に正確な会計情報を提供するのに欠かせません。
補助簿は、勘定科目ごとに詳細な内訳を記録する帳簿のことです。
主要簿である勘定元帳に記載される仕訳の内容を、詳細に把握しやすくするために用いられます。
たとえば、仕入先ごとに購入した商品の個数や単価を記録する仕入明細書などが補助簿にあたります。
補助簿の記録の詳細度は、会社の規模や業務内容、取引の特徴によって異なります。
補助簿が適切に管理されることで、不正やミスの防止、経営判断のための正確な情報の提供が可能となります。
経理が扱う書類の保存期間は、法律によって決められています。
税法に基づく課税の対象となる書類に関しては、基本的には7年間の保存が義務づけられており、会計年度終了後の3月末までに保管することが求められます。
また、会社法に基づく会計帳簿については、10年間の保存が義務つけられています。
社会保険法や労働基準法に基づく事務処理に関しても、出来る限り長期間書類を保管する必要があり、こういった期間を厳守することで、法的問題や紛争といったトラブルが発生した場合に、証拠を提出できるようになります。
「基本は7年、法人は10年保存」と覚えておきましょう。
どんな仕事にも向き不向きがあるように、経理業務にも向いている人とそうでない人がいます。
どのような人におすすめなのか、3つのポイントについてご紹介します。
数字の入力や計算が業務の基本となるため、まずはずらりと並んだ数字に抵抗がない人におすすめです。
経理を希望する人としては、普段からお金の計算をするのが得意という人が多いようです。
また、伝票の仕分けやデータ入力など、地道な作業が好きな人にも向いていると言えるでしょう。
何かを集計し、そこから分析するのが得意な人も重宝されます。
いずれの業務も細かい期限が定められているため、ミスが発生しないよう集中しながら、かつ計画的に物事を進められる人には最適な仕事です。
入社してから学べるケースもありますが、最低限のパソコンスキルは必要です。
最近は小さな小売業者であっても、会計ソフトやクラウドサービスを利用する会社が増えてきました。
エクセルなどの表計算ソフトを、ある程度使いこなせるスキルは身につけておきましょう。
また、基本的に経理業務は一日中パソコンに向かうデスクワークとなります。
そのため、連日のルーティン化された業務に対し、飽きることなく真面目に従事できる能力が求められます。
その中でも、税に関する法律や会計ルールが毎年少しずつ改正されるものです。
新しい情報にアンテナを向けて日頃から学ぶという姿勢があると、より長く続けることができるでしょう。
関連記事>>経理業務でエクセルを使うメリットとは。機能や関数を一覧で紹介
経理担当者には「数字に強い」というスキルが不可欠です。
これは「財務報告や日常の取引記録に必要な正確な計算・分析能力を備えていること」を意味しています。
経理の専門家は、ただ数字を扱うだけでなく、数値が示す経済的な意味を解釈し、経営判断に役立てる分析力が必要とされます。
また、バランスシートや損益計算書などの財務諸表を理解し、正しい情報を迅速に提供できることも、経理職には求められているのが現状です。
経理担当者にとっての「説明能力・コミュニケーション能力」は、数字の背後にある物語を明確に伝え、理解してもらうために欠かせません。
とくにこれらのスキルは、複雑な財務情報や予算計画を、経営陣や非経理部門のスタッフにわかりやすく説明する際に重要です。
正確な情報を効果的に伝達することで、正しい経営判断を下したり、部門間の円滑なコラボレーションを実現したりすることができるでしょう。
経理担当者には、当然「専門知識」が要求されます。
この知識は、各種の会計基準や税法、さらには経済の原則や法律に精通していることを含みます。
経理職は、日々変化する会計規則に適応し、それを会社の財務記録や報告に適用する責任を負っています。
財務分析や経営の意思決定に影響するような専門的な知見を持っていることは、最低限と考えて良いでしょう。
専門知識があれば、経営上のリスクを最小限に抑えながら、会社の利益とコンプライアンスの向上にも寄与できます。
経理業務に資格は必須ではありませんが、「日商簿記検定」は実務未経験者であっても有効です。
2級以上を取得しておけば、さまざまな企業で評価の対象となるでしょう。
また「ビジネス会計検定」は、会計の基本が身に付いていることの証明になります。
財務諸表を作成できる人はいても「理解」できる人は少なく、重宝される資格です。
他にも「FASS検定」「FP」「BASIC」などが、経理に役立つ資格として知られています。
関連記事>>経理業務に必要な資格と習得しておくと日々の業務・転職に役立つ資格
経理職はビジネスの中心的なポジションのひとつであり、経営者の信頼を得ることができる魅力的なキャリアです。
経理職の仕事は、会社の財務状況を管理し、ビジネス戦略の成功を支援することです。
管理職になることも可能であり、財務戦略を考案し、財務業務の全体的な視点を持ち、会社の成長に貢献できます。
また、スキルアップや専門知識を身につけ、独立開業者として自営業に転身することもできます。
経理職には、ビジネススキルの向上や財務知識の習得、経営者とのコミュニケーションスキルを向上させるなど、多くの機会があり、魅力的なキャリアのひとつといえるでしょう。
経理のやりがいは、数値を通じて企業の経営を支え、改善することができる点にあります。具体的には、財務諸表の作成や分析、決算処理、資金管理など、企業にとって欠かせない経理業務を担当することで、経営陣からの信頼や評価を得ることができます。
また、経理業務を通じて企業のビジネスや経営に深く関わることができるため、その影響力も大きくなると考えられます。
さらに、経理業務には正確性と細かいスキルが必要であるため、仕事の成果が数字として表れるため達成感や充実感も得やすいでしょう。
また、専門性も高い仕事なので、それがうまく活きた場面でもやりがいを感じられます。
以上のようなポイントから、経理のやりがいは多岐に渡り、やりがいのある職業であると言えます。
経理担当の魅力のひとつは、まさに経営の核心に迫る仕事ができる点です。
経理は、企業の財務状況を詳細に把握し、その情報を基に経営戦略が練られるため、会社の将来の針路を左右する重要な役割を担っています。
具体的な経営判断を行ううえで、経理からの正確で実質的なデータ提供は不可欠です。
そのため、経理担当者は自らの仕事が経営全体にどう影響しているのかを目の当たりにし、経営と密接に関わる達成感を味わうことができます。
経理担当者としてのやりがいのひとつは、専門知識を身に着け、磨き上げることができる点です。
財務諸表の作成や予算管理、税務申告など、幅広い業務を通じて会計の理論と実践を経験し、実務能力を高めることができます。
また、この深い知識は会社の財政健全性を支える基盤となり、企業運営に直接貢献している実感を得ることにもつながるでしょう。
専門知識はキャリアアップにもつながり、専門性の高いポジションへの道を開く鍵としても役立ちます。
経理担当者にとってのやりがいのひとつに、繁忙期が明確であるという点が挙げられます。
決算期や税務申告の期限に合わせて仕事のピークがあり、これらの時期は集中して業務に取り組む必要があります。
この予測可能なサイクルによって、仕事の計画が立てやすく、効率的なタスク管理が可能になるでしょう。
特定の時期に全力を注ぐことで、それ以外の期間は新しいスキルの学習やプロジェクトへの取り組みに余裕を持てるなど、充実した仕事環境を築くこともできます。
経理担当者が抱くやりがいのひとつは「人に感謝される仕事」であることです。
日々の業務を通じて会社の健全な財務状況を保つことで、社員や経営層からの信頼と感謝を得られます。
また、給与計算や経費の精算など、同僚の個々の生活に直結する業務も経理の役割であるため、スムーズにこれらを処理することで、同僚からの感謝を「直接」感じられるでしょう。
経理部門は会社全体を支える基盤としての役割を担うため、その貢献が認められた時の満足感は、他の職種にはない特別なものといえるかもしれません。
経理の主な厳しさとしては、以下の3つが挙げられます。
経理という仕事は、会社の財務を取り扱ううえで非常に重要なポジションです。
そのため、経理担当者には正確性や信頼性が求められます。
1度でも誤った会計処理を行ってしまうと、会社の信用や評判に大きく影響を与えることになります。
そのため、経理担当者は信用を築くことが不可欠です。
信頼を築くためには、正確かつ迅速な仕事の実績と、コミュニケーション能力による顧客との良好な関係性が必要でしょう。
また、自分自身のスキルアップや最新の情報にアクセスすることも大切です。
経理という立場上、必ずしも喜ばれる仕事ではありませんが、信頼を築ける経理担当者は企業にとって必要不可欠な存在となります。
経理業界において、正社員不足が現在の重要問題となっています。
現在、3?4割ほどの企業が「経理の正社員不足」の状態に陥っており、中途採用の求人数も増加しています。
一方で、経理としての職務経験が必須となっている傾向もあります。
急速な情報化やAIの導入によって単純な業務は自動化されつつあり、経理業務の中核である分析や提言など、高度な判断力が求められるようになったことが背景にあるといわれています。
このため、経理の仕事には、正確性と信頼性はもちろんのこと、経験を持った人材が求められるようになっていると考えられます。
年収は、経験者転職の場合で大企業だと500万円前後、中小企業の場合だと350万円前後です。
経理を目指すためには、まずは会計や簿記の基礎的な知識を身につけることが必要です。
簿記の資格取得や経理の実務経験を積むことで、スキルアップすることができます。
また、PCの操作やExcelの使い方も必要ですので、ITスキルの習得も重要です。
定期的に業界のニュースや動向をチェックし、PDCAのサイクルを回すことも大切です。
最後には、コミュニケーション能力やチームワーク力なども重要な要素ですので、幅広いスキルを身につけることが大切です。
簿記や公認会計士といった資格保有、一般事務等のオフィスワーク経験を募集条件としている企業もあります。
なかには未経験の求人募集もあるので、スキルアップを進めながら探してみてください。
経理担当者の年収は、企業の規模や業務内容、勤務年数などによって異なります。
基本的には、専門性の高い業務となっている分、一般事務職に比べると年収も高いとされています。
目安としては、未経験の状態で入社した場合、3年目までは年収300万円台と考えておくといいでしょう。
簿記2級以上を取得している場合は、そこに資格手当が付くこともあります。
一通り実務経験を積んでリーダークラスになれば、年収400万円を超えてくるのが一般的です。
ただし、簿記2級以上の取得は必須、大企業であればその後の海外駐在を考慮に入れて、英語スキルを求められる可能性が高いでしょう。
必要な資格やスキルを持ち、経理部長や課長クラスに昇格した場合は年収600万以上が期待できます。
このように、経理部門では実務経験や資格の有無が年収に大きく反映されます。
転職で年収アップを狙う場合は、それらを念頭に置いて日々の業務に励みましょう。
AIの技術が発達し、さまざまな職種が姿を消すと言われており、経理も例外ではないとされています。
しかし、いくらキャッシュレスが進んでも、お金の動きを把握し分析するためには、やはりその会社の人間の判断力が必要となります。
状況によってお金の流れを変えるという臨機応変な判断は、やはりAIには難しいでしょう。
ただ、入力や決められた計算などルーティン化された作業に関しては、今後人間に代わり機械が担えるようになることが予想されます。
経理業務においても、完全になくなるというわけではなく、機械に任せる部分と人間が判断する部分をうまく組み合わせて、作業の効率化を図る企業が増えてくるでしょう。
関連記事>>経理の仕事がなくなる可能性とAIに取って代わられる経理業務
経理業務におけるAIの将来性のひとつとして「効率化」が注目されています。
AI技術の進化により、データ入力や請求書の処理などの時間を要する繰り返し作業が自動化され、経理担当者はより戦略的な業務に専念できるようになります。
たとえば、AIが経理データを即座に分析し、会社の財務状況をリアルタイムで見える化することで意思決定を支援することが可能です。
将来的には、人間の経理担当者はAIの提供する高度な分析や予測情報をもとに、企業経営の質の向上に貢献することが期待されています。
もちろん、経理業務において人間にしかできない重要な役割もあります。
経理では、数字の背後にあるビジネスの物語を読み解き、戦略的な意思決定を下す洞察力が求められます。
AIは効率化と精確さが武器ですが、人間ならではの直感、倫理観、対人スキルなどは、AIには真似できません。
また、何より「企業の文化や非定型的な問題に適応し、創造的なソリューションを提案する能力」は人間特有のものです。
AI技術が発展しても、戦略立案、コミュニケーション、リーダーシップといった領域での経理担当者の価値は、ますます重要になるでしょう。
経理業務で覚えておくべき用語は決算用語、会計用語、簿記用語、税金用語に分けられます。日々の経理の仕事では主に会計用語と簿記用語を使うことが多いです。決算や申告となると決算用語と税金用語を理解する必要があります。それぞれの用語で最低限知っておくべき用語について紹介していきます。用語を理解していると日々の仕事を行うことで最終的にどういった書類が出来上がるのかが分かるようになるでしょう。
決算に関する用語として、簿記的の決算として損益計算書と貸借対照表があります。税務的な決算として財務諸表があります。
決算書とは財務三表と呼ばれる貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つで構成されます。一定期間の企業の経営成績や財務状況などを表すための書類になります。決算書を見ればその企業がどの程度利益を上げているのか、どういったことで利益を上げたのかといったことが見えてきます。
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貸借対照表はB/Sともいわれます。これは企業の一定時点での資産と負債、純資産の内訳を表す書類です。左側にくる数字が資産で右側にくる数字が負債と純資産を足した数字がきます。左と右の合計値は必ず一致するように作られています。貸借対照表をみることで資産を得るためにいくらの借り入れをしているかなどを読み取ることができます。
損益計算書はP/Lともいわれる書類です。企業の一定期間の売上がどの程度あって、その売上を得るためにいくらの経費がかかったのか、最終的に利益としていくら残ったのかを表す書類です。損益計算書を見ればその企業の経営成績を知ることができます。また損益計算書を見るとどういった形で収益を得たのかを把握できます。
キャッシュフロー計算書は資金の流れを把握するための書類です。どういった方法で資金を得たのかによって基本的に営業活動、投資活動、財務活動の3つに分類されます。期末の数字を見ることでどれだけの資金が企業に残っているのかを知ることができます。
会計用語には日々の帳簿をつけるうえで知っておくべき言葉から決算書の作成をするうえで出てくる言葉があります。
仕訳とは企業の日々の取引を簿記のルールに従って帳簿をつけることを言います。経理の日常業務は主にこの仕訳を行うことにあるでしょう。仕訳が正しくできていないと決算ができません。また誤りや漏れがあると決算の数字も違ってきてしまいます。そのため仕訳の作業には正確性が求められます。
仕訳を行う際に勘定科目を選んで仕訳をしていく必要があります。その勘定科目ごとにまとめた帳簿が総勘定元帳になります。総勘定元帳を見ればその勘定科目の取引日や残高が分かります。仕訳を行ううえで総勘定元帳に振り返ることで日々の会計処理が正しくできているか確認できます。
売上を得るために仕入れや製造などにいくら経費がかかったのかが原価です。売上原価は最終的に商品が売れたときに原価として計上されます。損益計算書では期首の棚卸商品に当期商品の仕入れ高を足して、期末の商品棚卸を引いたものが売上原価として計上されます。
資金は事業を行ううえで使用するお金のことです。資金は現金や預金などすぐに支払にできるものを指します。そのためすぐに支払に使えないようなものは資金とは言いません。
資産には現金や預金だけでなく、土地や建物、機械設備など売却することでお金に変えられるもの指します。また売掛金や売上手形も将来的には企業にとっては収益になるため資産として計上をおこないます。資産には1年以内に現金できる流動資産、1年以内に現金化しないものや長期的に保有する固定資産、創立費や開業費といった繰延資産の3つがあります。
資金繰りとは企業の資金が枯渇しないように収入や支出をコントロールすることです。資金繰りが難しい場合は金融機関などから融資を受けて資金調達をする必要があります。もし資金繰りができない場合は企業としては破綻してしまうため、そうならないためにも資金繰り表を作成するなどコントロールが必要になってきます。
勘定科目は主に複式簿記で帳簿をつけていくときに出てくる用語になります。特に掛け取引はどこの企業でも使う機会が多いでしょう。
売掛金は商品やサービスを提供して、支払は後日になるような取引をした場合に使います。月末に請求書を上げて翌月に支払いがおこなわれるような取引は売掛金を使います。支払いを受ける権利を得るため売掛債権と呼ばれることもあります。手形を使用した場合は受取手形になりますので注意が必要です。
関連記事>>売掛金とは・勘定科目や仕訳方法
買掛金は仕入れやサービスの提供を受け、支払が後日になるような取引をした場合に使います。取引先から請求書が届いて、翌月にその支払いがおこなわれるような取引は買掛金を使います。支払わなければならない義務を負うため買掛債務と呼ばれることもあります。こちらも手形を使用した場合は支払手形になります。
企業が設備投資や資金繰りを行うために金融機関などから融資を受けてお金を借りた場合は借入金となります。自己資本の反対語として他人資本ともいわれます。個人の借入金同様に返済義務があり、元本と利息の返済を行う必要があります。一年以内の返済を短期借入金、一年以上の返済を長期借入金と区別します。
経理が作成した書類をもとに企業は最終的に申告をおこない、法人税を支払います。法人税にもいくつか種類があります。
法人の所得に対して課税される税金です。法人の場合は設立した時に事業年度を設定します。個人とは異なり、申告の時期は法人によって異なります。その事業年度の間で得た益金の金額から損金の金額を差し引いたものが法人の所得になります。そこに法人税率をかけて算出がされます。法人税率はどういった法人なのかによって税率が異なります。
住民税とはそもそもそこに住む個人や所在している法人に対して都道府県税と市町村税を課します。法人住民税は法人の所在地する都道府県や市区町村が課税します。法人税割と均等割によって税が計算されます。法人税割は法人税をもとに算出され、均等割は従業員数や資本金をもとに算出がされます。
法人事業税は法人が事業活動を行うために地方自治体に納める税金です。経済活動を行うにあたって公共サービスを利用しており、それには維持管理費がかかります。そこの整備にかかる負担を法人にも負担させるための税金です。法人事業税は所得に法人事業税率をかけて算出がされます。
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経理業務は会社経営を支える重要な仕事です。
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