「企業会計原則とはどんな内容?」
「どんな構成で成り立っているの?」
「原則を守らないとどうなるの?」
会社経営において、会計は極めて重要です。
ただし、会計処理において適切に利用するためには、企業会計原則についての理解が必要不可欠。
とくに経理担当者にとって、企業会計原則は決して避けて通れない道です。
内容を全て丸暗記する必要はありませんが、大まかな内容は理解しておくといいでしょう。
本記事では、企業会計原則のうち、「真実性の原則」や「正規の簿記の原則」をはじめとした基本的な7つの一般原則について解説します。
7つの原則を理解することで、適切な会計処理を行うことができ、経営の意思決定に役立つ情報を得ることができます。
罰則の有無についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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顧客は提出された決裁書を元に投資先や融資金額を決めます。
企業会計原則との大きな違いはありませんが、企業会計原則が土台で、その上に企業会計基準が成り立っているイメージです。
そのため、企業会計原則では具体的な進め方について述べていません。
しかし、企業会計基準では具体的な進め方が設定されています。
日本で用いられている主な会計基準は、以下の4種類です。
基準名 | 特徴 |
日本会計基準 | 日本独自の会計基準 |
米国会計基準 | 米国で採用されている会計基準 |
IFRS | 国際会計基準審議会作成の世界共通の会計基準 |
J-IFRS | 国際会計基準の日本版 |
アメリカで活躍している日本の企業は米国会計基準を利用しましょう。
7つの一般原則がある企業会計原則は、柱となる3つの構成で成り立っています。
それが以下の3つです。
これらの原則を遵守することで、会社の財務状況を正確に把握することができ、会計上のトラブルを予防することができます。
ここからは、それぞれの構成と、そこにある原則の詳細を順に紹介していきます。
企業会計全般における理念やガイドラインを定めたもので、7つの項目に分かれています。
貸借対照表や損益計算書のような決裁書を作成するうえで、双方に共通した会計に対する基本的な考え方を示しているものです。
顧客の信用を得るために、わかりやすく正しい帳票を作成する旨が記載されています。
具体的な意味合いは、このあと紹介する「企業会計原則における7つの原則」の見出しで解説しますので、このまま読み進めていってください。
資産や負債、資本についての会計の進め方や表示方法に関する基準です。
貸借対照表は、企業の現状を把握するための重要な役割を担っており、区分表示の原則という貸借対照表の書き方について、記載されています。
この原則によって、資産や負債、資本の3つの部に区分され、さらに流動か固定かに分類しなければなりません。
また、勘定科目を並べるときには現金化しやすいものから順番に記載します。
費用や収益の会計方法や表示方法に関する基準です。
1年間の純利益の計算方法について、会計期間における全ての収益と、費用を経常利益に記載し、特別損益を調整して記載すると定められています。
また、損益計算書原則では「発生主義」で処理することを原則としています。
発生主義とは費用や収益について、発生した時点で計上することです。
発生主義で処理することによって、現状を把握しやすいメリットがありますが、在庫が残ってしまうとその在庫分の仕入金額を経費にできなくなってしまうデメリットもあります。
関連記事:損益計算書(PL)とは?見方・書き方
ここからはついに、企業会計原則の要となる7つの原則について紹介します。
これらの原則は、会社の財務状態を正確に反映するために遵守されるべき大切な基盤であり、ビジネスを行ううえでの信頼性を高める役割を担っています。
それぞれ確認していきましょう。
1つ目の原則は、企業の経済状態について真実な情報を提供するように記されています。
7つの原則のなかでも顧客の信用を得るために重要な原則です。
ここでいう「真実」とは、相対的真実を表しています。
相対的真実とは、複数の人物が異なる方法で会計処理を行い、結果が異なったとしても定められた手続きによって処理している限り、真実として認めるということです。
たとえば、同じ固定資産の処理でも、企業の状況によって選ぶ減価償却法が異なります。
これを統一することは困難なため、企業ごとに異なる会計処理を行っていたとしても、原則にのっとった真実を満たしていれば、認められるのです。
2つ目の原則では、全ての取引情報を正確に台帳に記載するように記されています。
ここでいう「正確」とは、情報が網羅的に記されているか、検証が可能な情報を記しているか、秩序をもって取引のすべてを記しているかです。
これらの条件は、複式簿記を利用することで満たすことができます。
複式簿記は、ひとつの取引を借方と貸方の2つの方向から記載します。
そのため、残高だけではなく全体的なお金の動きを把握できるのです。
3つ目の原則では、それぞれの取引や余剰金の区分を端的に分けるように記されています。
資本取引とは、資本を直接変化させる取引のことで、株式発行や剰余金の配当などです。
損益取引とは、収益や費用の生じる取引のことで、商品の売買が該当します。
一般原則でこの2つを端的に区分するように記されているのは、資本と成果としての利益を分けるためです。
さらに、資本剰余金と利益剰余金の2つを混同しないようにも記されています。
これは、それぞれの余剰金の特徴が異なるため、一緒にしてしまうと顧客が混乱してしまうからです。
これらの情報を分けて記載することによって、顧客に適切な情報を与えられます。
4つ目の原則では、顧客に必要な事実を端的に正しく提示し、混乱させないように記されています。
これは、顧客が企業の詳細を知って誤った判断をしないように、誤解を招くような記載方法をしてはいけないという原則です。
記載するときの勘定科目に決まりはありませんが、わかりやすい表現にしなければいけません。
また、災害による重大な損害が発生したときや、企業の合併が行われたときにも注記する必要があります。
5つ目の原則では、毎期継続して処理を行い、気まぐれに方法を変えてはいけない旨が記されています。
この原則は、顧客にわかりやすい情報を提供し、誤った判断をさせないためです。
そのため、やり方が複数ある場合は、1つの方法に絞って継続しましょう。
しかし、どうしても変更が必要な場合は、正当な理由があれば変更は可能です。
変更する場合は明瞭性の原則にのっとって、決裁書に方法が変わった旨を注記しましょう。
6つ目の原則では、経済状況が悪くなる可能性がある場合は、適当な処理を行う必要がある旨が記されています。
つまり、貸し倒れの可能性がある売掛金は、多めに貸倒損失を計上する進め方のことです。
しかし、この方法は企業の経済状況が悪くなる可能性が認められた場合にのみ適用されます。
そのため、みだりに費用を多めに記載してしまうと利益を有利に働くよう不正に操作したと認識されてしまう可能性があるため、注意が必要です。
7つ目の原則では、異なる形式の財務諸表を作成する場合、1つの信用できる帳票に基づいて作成するように記されています。
つまり、元となる帳票は1つにまとめ、複数作成しないようにと記している原則です。
財務諸表とは決裁書のことで、作成時に事実をゆがめてはいけない旨も記載されています。
決裁書を元に金融機関や顧客は資本金を決めているため、元となる1つの帳票から作成し、真実のみを記載する必要があるのです。
企業会計原則を守らなくても罰則が起こることはありません。
なぜなら、企業会計原則は法令として位置づけられていないからです。
しかし、守らなかった結果、以下のような別の法令に違反する可能性があります。
これらの法令では「公正妥当な方法による企業会計原則については守るべきである」と認知されているため、企業会計原則を守らないことによって抵触の可能性があるのです。
金融商品取引法に触れてしまうと、刑事罰で最高懲役10年もしくは7億円以下の罰金が科されてしまいます。
さらに、業務停止命令の行政処分を受ける可能性もあるため、企業会計原則は必ず守りましょう。
企業会計原則における、7つの一般原則について紹介しました。
経理担当者であれば大まかな内容を把握しておくだけで、業務をスムーズに行えるでしょう。
企業の会計処理を守らなくても直接法律に触れることはありませんが、金融商品取引法や会社法といった他の法令に抵触してしまう可能性があります。
また、原則を守っていない企業は顧客から信用を得にくいです。
そのため、企業会計原則の内容を把握し、それを模範とした処理をおこなうようにしましょう。
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