四半期報告書とは?概要と提出期限

IPOを目指して上場準備をしていると、四半期報告書について触れることもあるでしょう。四半期報告書とはそもそもどんな書類なのか、内容や提出期限はいつなのかなど、さまざまな疑問があるかもしれません。
そこでこの記事では、四半期報告書の概要や四半期報告制度について紹介します。また、四半期に1度提出する有価証券報告書との違いや提出期限についても詳しく解説しています。上場の準備をしている経営者の方や四半期報告書について詳しく知りたいという方は、ぜひ最後までお読みください。

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四半期報告書とは

四半期報告書とは、四半期ごとに作成する報告書のことで、金融商品取引法の対象となっている上場企業が提出するものです。有価証券を発行している企業には、ディスクロージャーが求められています。ディスクロージャーとは情報開示のことで、投資家が投資判断を適切に行えるように情報を開示するというディスクロージャー制度が設定されています。こうした背景から、有価証券を発行している企業は有価証券報告書と四半期報告書を提出する必要があるのです。

四半期報告制度とは

四半期報告制度とは、四半期ごとに情報を開示するために四半期報告書を提出する制度のことです。四半期報告制度は証券取引法改正によって2006年の創設されました。

四半期報告制度が制定される前は、年に2回有価証券報告書と半期報告書を提出することが一般的でした。ところが欧米をはじめとした海外の国と比較したところ、情報を開示する頻度が低いという指摘がされてしまいます。投資家が企業の情報に触れる頻度が少ないと、投資に関して正しい判断ができません。こうした問題を改善するために、四半期報告制度が制定されました。

それ以降も、四半期報告制度は何度か改正されています。その結果、四半期報告書は一部を省略したり簡略化したりすることが認められ、企業の事務的な負担を減らし、スピーディーに開示できるようになりました。

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四半期報告制度の対象

四半期報告制度の対象となっている企業とは、証券取引所に上場している会社です。金融商品取引法では、金融商品の取引について公正を図り、投資家を保護するため、上場企業と店頭登録会社に対して、四半期報告書の提出義務を定めています。しかし2004年にJASDAQ証券取引所が開設され、店頭登録会社は移行しました。そのため、現在では四半期報告書制度の対象会社は、上場企業のみとされています。

ただし、上場企業のなかには例外として半期報告書を提出する企業も存在しています。半期報告書は一般的に、非上場企業が提出することが多いです。非上場企業が有価証券届出書を提出して株式の公募を行った場合、四半期報告書の提出義務はありませんが、半期報告書を提出する必要があります。

しかし銀行や投資ファンドなどのような場合は、上場企業であっても半期報告書を提出する例があります。その理由は、自己資本比率規制に関係しています。自己資本比率規制とは総資産に対してどれくらい資本金や引当金といった内部資金が存在するかを表した割合のことです。企業によっては、自己資本比率規制によって半期報告書の個別財務諸表を作成する必要があるからです。

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四半期制度の内容

四半期報告書の内容は、大きく分けて以下のように5つに分かれています。

  • 企業情報
  • 事業の状況
  • 提出会社の状況
  • 経理の状況
  • 監査報告書
    • 企業情報とは株価に大きな影響を与える情報のことです。例えば、重要な事業の内容や売上高、当期純利益といった重要な財務数値が挙げられます。
      事業の状況とは会社の事業を営む上で重要な情報のことを表しています。例えば、経営者によるキャッシュ・フローの説明や事業等のリスク、重要な契約などを記載します。
      提出会社の状況とは株式や株主に影響を与える情報のことです。例えば発行済株式や新株予約権、自己株式、そして役員の状況などを記載します。
      経理の状況とは、会社の決済に関する情報がまとめられています。例としては、四半期財務諸表やセグメント情報、財務諸表に関する注記があります。

      そして最後に、監査報告書がまとめられます。監査報告書とは第三者である監査人の立場から監査の意見を述べた報告書です。監査報告書には企業の経営者が作成した財務諸表に対して、経営成績やキャッシュ・フローの状況、財政状態について適正であることを証明しています。

      監査報告書が必要な理由は、四半期報告書に間違いや虚偽がないことを第三者の立場からレビューし、信頼を得るためです。決算情報に誤りがあると、証券取引所からの業務改善命令を下されたり、さらには上場廃止といった罰則が与えられたりというペナルティが発生します。こうしたリスクを回避するため、監査報告書は重要です。

      ここまでが四半期報告書の内容です。また他にも、第2四半期のみ「大株主の状況」を記載したり、第1四半期と第3四半期では「大株主の異動の注記」を記載したりするなど、四半期ごとに内容が異なることもあります。

四半期報告書の提出

四半期報告書には提出期限があり、各四半期が終わってから45日以内に提出しなければなりません。すると基本的には、該当期間の翌月に四半期報告書を作成し、翌々月の中旬までに提出することになります。3月決算の企業の場合、以下のようなスケジュールになります。

  対象期間 提出月
第1四半期報告書 4月1日〜6月30日 8月15日前
第2四半期報告書 7月1日〜9月30日 11月15日前
第3四半期報告書 10月1日〜12月31日 2月15日前
有価証券報告書 事業年度(前年4〜3月) 6月15日前

このように、四半期報告書は1年で3回作成する必要があります。対象期間に対して提出期限が短いため、スピーディーに作成することが求められます。

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有価証券報告書と四半期報告書の違い

有価証券報告書と四半期報告書の違いは2つあります。1つは提出頻度です。四半期報告書は四半期に1度提出提出するものであるのに対し、有価証券報告書は年に1度提出する書類となっています。3月決算の上場企業の場合、決算が終了すると有価証券報告書を作成します。有価証券報告書は6月に行われる株主総会で資料として提示します。株主が投資判断をするための重要な書類となっていて、万が一虚偽の記載をすると厳しい罰則が与えられてしまいます。

そして有価証券報告書と四半期報告書の2つ目の違いが、記載する内容と目的です。四半期報告書は迅速な情報開示を目的としているのに対して、有価証券報告書は有用な情報開示を目的としています。そのため、45日以内に提出しなければならない四半期報告書とは違い、記載されている情報量が多くて項目の種類も豊富です。四半期報告書にはなく、有価証券報告書には記載されている内容は例として以下のものがあります。

  • 設備の状況
  • 個別財務諸表
  • 個別財務諸表に対する監査報告書
  • コーポレートガバナンスの状況
  • キャッシュ・フロー計算書

設備の状況とは企業が設備に対してどのように投資を行っているかが分かる指標です。項目としては、設備投資に関する概要や、主な設備の状況、新設・除去した設備に関する内容などがあります。

個別財務諸表とは単体の企業について作成する財務諸表のことです。そしてこれに対して、内容に誤りがないことを証明する監査報告書を付け加えます。四半期報告書にも監査報告書がありますが、若干内容が異なっています。提出期限が短い四半期報告書の監査報告書はやや簡易的で、「レビュー」という形で記載されます。そのため、手続きは質問や簡単な分析などで賄われることが多いです。一方有価証券報告書の監査報告書は、書類を突き合わせたり現物確認を行ったりと積極的な形式で行われます。

コーポレートガバナンスの状況では、コーポレートガバナンスという企業統治に関する報告がされます。コーポレートガバナンスとは社外の第三者が経営を監視する仕組みのことで、企業が組織ぐるみで不祥事を起こすことを防ぐものです。
そしてキャッシュ・フロー計算書とは、企業のお金の流れを表したものです。手元にあるお金がどうなっているのかが分かります。
このように、有価証券報告書は四半期報告書よりも提出頻度が低いため、様々な情報が記載されています。

有価証券報告書とは・提出義務や期限

まとめ

この記事では、四半期報告書の概要について紹介しました。四半期報告書とは四半期ごとに作成する報告書のことで、金融商品取引法の対象となっている上場企業が提出するものです。投資家が投資判断を適切に行えるように情報を開示する目的で四半期報告制度が制定されて以来、日本に浸透しました。

四半期制度の内容は、企業情報や事業の状況などをまとめ、四半期ごとに内容が変わる項目もあります。四半期報告書は株主にとって大きな投資判断となる大切な書類です。そのため、内容に間違いや虚偽がないように監査報告書が付きます。間違いや虚偽があると、最悪の場合上場廃止といった厳しいペナルティを受けることもあるのです。また四半期に1度提出されるものが有価証券報告書で、頻度が少ないことから四半期報告書よりも情報量が多いという特徴があります。
四半期報告書は投資家にとって重要な投資判断の材料で、金融庁からも開示ガイドラインが展開されています。上場を目指している企業の経営者の方は、ぜひこの記事を参考にして、四半期報告書について理解して準備を進めていきましょう。

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